「子供は食べて成長してほしいけど親は痩せたい!」虎戦士・オリンピアンを支える栄養士の朝食と夕食ルール
“あぶら”のバランスも大切
そしてもう一つ、吉谷さんが意識してほしいと話すのは、「あぶら(油・脂)」のバランスだ。 例えば、吉谷さんの提案する夕食のメニューは、必ず一食の中に肉料理と魚料理が入っている。 その理由は、肉は筋肉を作る良質なタンパク質を取ることができるが、肉の脂ばかりを取ると、血液がドロドロになり、さまざまな組織が炎症を起こすためだ。 「組織が炎症を起こすと、関節や筋肉に痛みが出ます。これは選手が一番嫌がること。身近な話でいえば、焼肉を食べた次の日に肌が荒れたり吹き出物が出来たりすることも炎症反応の一つです」 そこで、血液をサラサラにする効果があると言われる魚の脂を同じ食事に取り入れると、肉の脂に偏りすぎることを防いでくれるという。 ただ、家庭の毎日の夕食で肉と魚の料理を両方用意するのはハードルが高いかもしれない。 「そんな時は、エゴマ油やアマニ油といった血液をサラサラにする効果があるオメガ3脂肪酸が入っている油をサラダなどと一緒に取ることをお勧めしています。また、月曜は魚、火曜は肉、水曜は魚…というように肉と魚の主菜を日替わりで出してもいいですね」
カロリー計算が出来なくても
さて、ここで気になるのは、「食べる量の目安」ではないだろうか。自分もそうだが、子供が食べすぎなのか、食べなさすぎなのか分からなくて悩んでいる人もいると思う。 吉谷さんは、大人が一番簡単に適正な食事量を知る方法は、「体重の増減」を日々チェックすることだという。 「毎日同じ時間に同じ服装で体重計に乗り、体重の増減がなければ、使っているカロリーと食べているカロリーが同じということです。太ったり痩せたりした場合は、摂取するカロリーと消費するカロリーのバランスが崩れているということです」 一方、子供の場合は、体重はそこまで気にしないでいいと言う。 「お子さんの場合、肥満の場合を除き、食べられるだけ食べさせてあげるのがいいと思います。たくさん食べられることは能力。食べすぎても注意せずに見守ってあげてください」 虎戦士やオリンピアンの活力を支えるプロの食事法。日々の食事に取り入れてみてはいかがだろうか。後半では、子供の受験や試合を支える「勝ちめし」を紹介する。 (C)阪神タイガース 吉谷佳代 阪神タイガース栄養アドバイザー 管理栄養士、公認スポーツ栄養士。2015年より、阪神タイガースの栄養アドバイザーを担当。筋肉強化や増量、減量など、パフォーマンス向上のための栄養指導を選手たちに直接行うほか、選手の妻たちへの栄養学・料理講習、選手寮や遠征先ホテルのメニュー監修、クラブハウスの食堂メニューに関するアドバイスなど、虎戦士たちの「食と栄養にまつわる指導」を一手に担っている。
吉谷佳代