「温泉の玄関」修善寺駅、東京から特急踊り子1本の利便性 今年8月で開業100年、伊豆箱根鉄道駿豆線の終着駅
車両は地方私鉄としては珍しく自社のオリジナル車両が多く、1979年デビューの主力車「3000系」や1991年登場の「7000系」が活躍。このほか元西武鉄道101系の「1300系」も走る。三島―修善寺間は各駅停車で35~40分程度の乗車時間だ。この区間は踊り子も特急料金200円で乗車できる。 短い路線ながら沿線にはたくさんの観光スポットが点在する。伊豆長岡駅の東に位置する国指定史跡の韮山反射炉は1857年の完成。2015年に「明治日本の産業革命遺産」の1つとして世界遺産に登録された。同駅西側、狩野川を渡った先には温泉街が広がる。
源頼朝が若き日に流人としての日々を送っていたとされる蛭ヶ島付近には公園が整備されている。北条家ゆかりの願成就院では運慶作の国宝の仏像を拝むことができる。2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に登場した仁田忠常や源範頼らの墓所も沿線に点在する。 アニメファンの中には、沼津市が舞台の「ラブライブ! サンシャイン!!」とのコラボ企画を目当てに訪れる人も多いようだ。駿豆線にもラッピング電車が走っている。
駿豆線のルーツである豆相鉄道の開業は1898年にさかのぼる。三島町―南條間(現在の三島田町―伊豆長岡間)で営業を開始。翌年、南條―大仁間が延伸した。開業時は蒸気機関車による運転で、1919年に電化した。修善寺までの区間が開業したのは1924年8月1日で、三島―修善寺間が1本の線路でつながった。 もっとも当時の東海道線は山北・御殿場経由のルートを採っており、三島駅はいまのJR御殿場線下土狩(しもとがり)駅のことを指す。現在の三島駅に乗り入れたのは1934年だ。
伊豆箱根鉄道のもう1つの鉄道路線、小田原から延びる大雄山線は1925年に開業した。1963年までは三島広小路―沼津間に軌道線も走っていた。 ■「天城越え」バスの乗り換え拠点 修善寺駅は3面5線の頭端式ホームでターミナルらしい堂々とした雰囲気を備えている。10年ほど前に完成したリニューアル工事では天井に天城杉を用いた駅舎に生まれ変わったほか、駅前広場やロータリーが整備された。駅舎内の売店「イズーラ修善寺」の飲食コーナーでは「しいたけそば」が名物だ。