民法改正、離婚後の「共同親権」導入でどう変わる?メリット、デメリットは?別れても父母で子育てする共同養育のコツ
◆多様化する共同養育のケース ひとことで共同養育といってもご家庭によって千差万別。月に数時間というケースもあれば、平日と週末で分けたり、1週間交代で子どもが父母の家を行き来するご家庭も。居住地の距離や子どもの年齢に合わせて、子どもの生活環境に負担なく継続可能な方法を考えていくことが大事です。 子どもは日々成長していきます。離婚時に決めた養育条件を臨機応変にアップデートしていく必要もあるため、最低限でもやりとりができ、相手の意向に耳を傾けられる関係を互いに構築しておくことが大事です。とはいえ、やりとりや顔を合わせることが困難な父母においては、交流の際のお子さんへの付き添いや、日程や場所を調整する際の連絡仲介を行う団体もありますので、支援を頼ってみるのもひとつ。 最近では、離婚後子どもが自宅に住み続け、父母がそれぞれ引っ越し、1週間交代で子どものいる自宅で養育するというケースや、さらには離婚して籍は抜きながらも子どもが大きくなるまでは同居するという合意書を締結して離婚するケースなど、多岐にわたる共同養育のカタチが生まれてきています。ご家庭に見合った共同養育をカスタマイズしていけるとよいですね。
◆さいごに 子どもが望むのは、なによりも両親が争わないこと。共同親権が導入されても親権争いで係争が長期化するのでは意味がありません。共同親権に相応しい親は「協力的な親であること」が改正民法には掲げられています。 子どもが望む円滑な共同養育を実践するために大事なのは「自分自身が共同養育しやすい相手になる」ことです。 他責の念に囚われ相手を憎み続けるより、離婚で夫婦関係をリセットするならば父母としての関係性を能動的につくること。相手への負の感情を少しずつ解放できたならば、子どもはもちろんご自身の気持ちも楽になるでしょうし、きっとその変化を子どもは敏感に感じ取り笑顔が増えていくと思います。 また、共同親権導入に伴い争わない離婚協議に向けた司法改革や行政の支援体制の強化も必須となります。離婚後の父母、そしてなにより子どもたちの幸せにつながるように施行、運用されていくことを期待します。
しばはし聡子