民法改正、離婚後の「共同親権」導入でどう変わる?メリット、デメリットは?別れても父母で子育てする共同養育のコツ
◆離婚したら夫と縁が切れると思っていた 私自身、離婚経験者であり、元夫と関わりたくないが故に、当時小学校4年生だった息子と父親の関わりに後ろ向きは母親でした。離婚に強い弁護士へ依頼し離婚調停をしていく過程の中で、関係がより悪化し、調停が終了して弁護士を解任した後は、父母として関わることなど到底困難な状況になっていたのです。 息子は私の顔色を見て父親の話をしなくなり、父親が会いにきても喜ぶそぶりも見せず、そっと家を出ていきそっと帰ってきました。時折、息子に「パパのせいでこんなことになってごめんね」と涙目で訴える私に、当時の息子はただただ「うん。大丈夫」と気丈に答えるしかなかったのでしょう。 離婚して1年が過ぎた頃でしょうか。とある離婚家庭の親子交流(面会交流)の様子を見る機会がありました。母親の前では父親に会いたい様子を見せない子どもが、父親と会った途端に「パパー」と駆け寄り抱っこされて喜んでいる姿を見て、「父子の関係を途切らせてはいけない」と気づかされました。その後、私が元夫との関わりに前向きになると、息子が驚くほど家で父親の話をしだすようになりました。 この時、「離婚しても親子関係も親同士の関係も続く」ということを自ら理解し、ひとりでも多くの離婚に悩む人に伝えていきたいという思いから、離婚後も父母が子育てに関わる”共同養育”支援を行う団体を立ち上げ、今に至ります。 今ではすっかり雪解け状態の元夫婦であり、息子の進路について相談することもよくありますが、父母と息子の3人で会うようなことはめったになく、父子、母子、父母それぞれが良好な関係を築きながら共同養育を実践しています。
◆共同養育のメリット 離婚したいほど憎い相手は、子どもにとっても悪い影響を与える人なのでは?と思うかもしれませんが、子どもにとって唯一無二の親であることは変わりません。もちろん、妻や子どもへの虐待などがある場合には例外として、共同養育のメリットを挙げていきましょう。 <子どもにとってのメリット> ・両親からの愛情を受け続けられる 子どもは親の離婚でただでさえダメージがあります。加えて「自分のせいで離婚してしまったのか」「もう会えないのかな」と不安に思う子どもも少なくありません。引越しを余儀なくされたり友達と別れたり、環境の変化も子どもにとっては大きなストレス。それでも環境が変わっても別居親と変わらず関わりが持てていれば、喪失感も最低限に抑えることもできます。 ・さまざまな体験 男親女親それぞれと関わることで、子どもは多くの体験を得ることができます。片方の不得意分野の補完など、両方の親と一緒に過ごすことで子どもの知識や学びの経験は増えていきます。いつも同居親とふたりで過ごす日常よりも刺激もあるでしょうし、なにより子どもが楽しい時間を過ごすことは健やかな成長を促す大事な機会になります。別居親から教えてもらうという経験は、習い事で穴埋めできることではありません。 ・よりどころが2拠点ある たとえば、同居親と喧嘩するなど居心地が悪くなってしまったという場合に、もうひとつの家があることや、なにか困ったことがあれば駆け込むことができる相手がいるというのは、子どもにとっての安心につながります。また、よりどころがふたつあることによって、ひとりで過ごす時間も少なく済み、留守番や孤食といった孤独感を少なくできるメリットもあります。