コロナ禍の中、迫る災害 そのとき避難するべきか?【#コロナとどう暮らす】
新型コロナ感染のおそれがなくても
実は、このような事前の準備は、本来、新型コロナウイルスに感染するおそれがあってもなくても、災害から身を守るうえで大切です。 災害研究者などが集まる日本災害情報学会が5月中旬に公表した「避難に関する提言」の中にも「新型コロナウイルスの感染リスクにかかわらず、いざという時にどう行動すべきか、一人ひとりがあらかじめ考えておきましょう」という言葉が記されています。 福岡・大分などを襲った2017年九州北部豪雨、岡山・広島・愛媛など西日本を襲った平成30年7月豪雨(西日本豪雨)、広い範囲で河川の氾濫が相次いだ令和元年東日本台風(台風19号)――。ここ数年、日本列島で大きな水害が起こらなかった年はなかったといっても過言ではありません。今年も同様のことが起こっても何ら不思議はありません。 水害だけでも大変なのに、今年はこれに新型コロナウイルス対策も必要になるわけですから、考えただけでも恐ろしくなりますが、こういう時だからこそ、自分の命を脅かすような水害から「自分の命を守る」ために何をしておけばよいのか、基本に立ち返って考える良い機会になるはずです。
差別がないように…
最後に、もう一度、暴漢と居酒屋の話を少しだけ思い出してください。 もし、あなたが暴漢から逃げる立場ではなく、居酒屋に仲間たちといる立場で、暴漢に襲われた人が避難してきたら、どうするでしょうか。逃げ込んできた人は、逃げ走ってきたこともあって、息が切れています。頬も上気して、熱があるように見えなくもありません。マスクもしていません。 この場合、居酒屋にいるあなたは、逃げ込んできた人を迎え入れなければ、新たなリスクを抱えることはないのかもしれません。しかし、逃げ込んできた人は「自分の命を守る」ための行動をした人です。その人を入れなければ、どういうことになるでしょうか。 2019年の令和元年台風では、路上生活者が避難所で受け入れを断られるというケースが発生し、問題となりました。まだワクチンや特効薬もなく、分からないことも多い新型コロナウイルスですが、感染症への不安から人を差別して受け入れないようにしたり、ましてや放置したりするようなことは決してあってはなりません。 コロナ対策をめぐる「新しい日常」では、ソーシャルディスタンスをとることが求められていますが、災害も新型コロナウイルス感染症も、人と人の助け合いが不可欠です。お互いに協力して乗り越えていきたいものです。 ※この記事はYahoo!ニュースに寄せられた「避難所での感染が心配」という声をヒントに作成しました。コメント欄に、さらに知りたいことや専門家に聞いてみたいことなどがあればぜひお書きください。次の記事作成のヒントにさせていただきます。