コロナ禍の中、迫る災害 そのとき避難するべきか?【#コロナとどう暮らす】
新型コロナが怖いから避難しないは本当か?
暴漢を「水害」、居酒屋を「避難場所」と置き換えてみましょう。いざという時、私たちは何らかの選択をする必要があります。そして、実際に結果が出てみないと、正解は分かりません。ただ、自分の身に危険がさし迫っている時に、その状況を変えるために逃げることは、まさに「自分の命を守る」ための行動であり、本来、躊躇する必要はまったくないでしょう。 そもそも、「新型コロナウイルスに感染するぐらいなら、水害に襲われることもやむを得ない」などと考える人は、暴漢や居酒屋などというまわりくどい例を出さなくても、あまりいないのではないでしょうか。実はそれほど悩む必要のないことかもしれません。 それでも、社会から両者について悩む声が少なくないのはなぜでしょうか。もしかしたら、「新型コロナウイルスに感染することが怖いから、水害に対してどうすればよいのか悩んでいる」のではなく、「水害が自分を襲うかどうかわからないのに、新型コロナウイルスに感染する可能性があるところに行くことが正しい行動なのかどうか分からない」という人が少なくないのではないでしょうか。
できることはある
もし、そうだとしたら、今のうちにできることがあります。それは、水害が自分を襲う可能性がどれほどあるのかを、ハザードマップなどで調べておくことです(近年に発生した水害では、被害を想定しておらず、ハザードマップ上は安全になってしまっていた場所が浸水したケースもある。川の近くで、かつ周囲より低い場所は、ハザードマップだけで判断しないほうがよいでしょう)。 調べた結果、自宅が水害に遭う可能性がない場合、例えば地盤のしっかりした高台やマンション上階に住んでいる場合などは、あえて水害のリスクがないところから、わざわざ新型コロナウイルスに感染するリスクがある場所に移動する必要はないでしょう。それよりも家の中で食料品や水、懐中電灯など備蓄品を確認し、危険な状態の時に外出しなくてもすむようにしておけばよいでしょう。自宅が安全な人は移動せずに自宅にいることが、「自分の命を守る」ことにもなり、避難場所を混雑させないことにもつながります。 反対に、自宅が水害に遭う可能性が高い場合はどうでしょうか。 この場合は、いざという時は躊躇せずに行動するべきですが、そのいざという時に躊躇せずに行動できるように準備することはできるでしょう。 内閣府(防災担当)の調査によると、自治体の多くは、新型コロナウイルスの感染リスクがある状態に対応するため、従来の避難所に加えて、ホテル・旅館、体育館以外の学校施設(教室)などを避難所として活用することを予定しているようですが、個人としても、自治体が指定しているような避難所のほかに知人宅や親せき宅などで、難を避けることができる場所があるかどうかを調べておくことはできるはずです。もし、安全な場所を見つけ、その場所に移動する準備をしておけば、いざという時に水害からも新型コロナウイルスのリスクからも避難できるかもしれません。