ハリルJが北朝鮮戦で見せた問題点
これまでもアジアのチームに敗れたことはある。 近年で言えば、今年1月のUAE戦、13年3月のヨルダン戦、12年2月のウズベキスタン戦……。これらのゲームに共通するのは、日本が圧倒的にボールを支配し、主導権を握りながらもゴールを奪えず、PK戦にもつれ込んだり、カウンターから失点したりして敗れたことだ。負けたわけではないが、スコアレスドローに終わった6月のワールドカップ予選・シンガポール戦も、似たような展開だった。 だが、2日、中国・武漢で行われた東アジア杯の初戦で1-2で敗れた今回の北朝鮮戦は違った。 一方的にパスを回しながら攻めあぐねたわけでも、引いて守る相手を崩し切れなかったわけでもない。自らすすんで縦へ、縦へと速攻を繰り返して体力を消耗し、後半は相手に主導権を握られ、パワープレーに屈してしまう。 「もっと落ち着いてボールを回せば、なんの問題もない」 もし、遠藤保仁がいれば、きっとそう言っていたに違いないと思わせるほど終始慌ただしく、落ち着きのないゲーム内容。これこそ、まさに自滅だった。 もっとも、前半の出来は決して悪くなかった。 「慎重になる必要はないと思います。受け身に立つことで相手を勢いづかせてしまうと危険なので、スタートの5分で示さなければいけない」 日本の立ち上がりは、前日の槙野智章の言葉を具現化するようにアグレッシブだった。3分には右サイドバックの遠藤航のクロスにトップ下の武藤雄樹が合わせ、早くも先制に成功。12分には山口蛍の好タックルから武藤にわたって最後は左ウイングの宇佐美貴史が鋭いシュートを放つ。その後も縦に速い攻撃から1トップの川又堅碁、右ウイングの永井謙佑がフリーでシュートを放つなど、ビッグチャンスの連続だった。 「後半に入ると相手が押し込んでくるだろうと想定していたので、できるだけ前半の早い時間帯に2点、3点と取りたかったし、それができなければ厳しくなると思っていた」 こんな風にゲームプランを明かしたのは山口である。 7月29日にJリーグを戦った選手たちが中国入りしたのは翌30日。前半勝負のプランを描いたのは、万全からは程遠いフィジカルコンディションを考慮してのことだろう。 それゆえ、前半にリードを広げられなかったのは、痛恨だった。もっとも、あくまでも1-0でリードしているのは日本のほうだ。後半はボールを回して北朝鮮をいなして日本のペースでゲームを進めたかった。