ハリルJが北朝鮮戦で見せた問題点
ところが、後半に入っても日本の攻撃は速攻の一本槍で(もともとピッチ上にゲームをコントロールするタイプの選手も起用されていない)、案の定というべきか、15分を過ぎた頃から日本の選手たちの足は止まり始めた。 ときを同じくして(日本の足が止まるのを見計らっての投入だったとしたら、まんまと相手のプランにハマったことになる)登場してきたのが、日本を奈落の底に突き落とした20番、長身FWパク・ヒョンイルだ。北朝鮮はここから徹底してパク・ヒョンイルめがけてロングボールを蹴り込んできた。 終盤に喫した2失点の場面で致命的だったのは、競り合いがあまりに拙く、正直すぎることだった。1失点目はセンターバックの森重真人がパク・ヒョンイルに簡単に競り負け、リ・ヒョルチョクに叩き込まれた。2失点目は槙野が体をぶつけたが、パク・ヒョンイルに先に飛ばれて潰されてしまった。体をぶつける、斜めに飛んで体を預ける、アンカーやサイドバックとはさみ込んで飛ばせない、というような駆け引きを身につけなければ、今後も空中戦で屈することになる。 ただし、失点の原因をディフェンダー陣だけに求めるわけにはいかない。北朝鮮がパワープレーに出たとき、日本のディフェンスラインはズルズルと下がってしまい、ゴール前での攻防に持ち込まれてしまった。ディフェンスラインを押し上げて対応できなかったのは、日本の攻撃が速攻ばかりでボールをすぐに失い、ラインを押し上げるための時間を作れなかったからだ。また、速攻ばかりだったから体力を消耗し、ロングボールの起点となる相手選手に効果的なプレッシャーを掛けることもできなかった。 「放り込まれてしまえば、そこからは1対1の勝負になるから、蹴らせないためにチームとしてプレスをかけなければダメだと思うし、蹴られたとしても、無理な体勢というか、少しでもディフェンスのためになるように限定しながら追い込んでいったりしなければダメだった」と山口が言えば、「前線でキープできなくてディフェンスラインを上げられず、相手がフリーでロングボールを上げてくる場面もあったので、そこをしっかりと修正していきたい」と藤春廣輝も振り返る。 その点で期待したかったのが、途中出場の選手たちだ。川又に替わって1トップに入った興梠慎三にはキープやチェイシングなどで、もう少しチームを助けたかった。もっとも「足元に入ったらキープしようとしたけど、ちょっとロングボールが多かった」と、難しいシチュエーションだったのは確かだが。 同じことは浅野拓磨にも言える。指揮官から求められたのは、裏への抜け出しから2点目を奪うことだったのだろうが、その見せ場が訪れない以上、守備でチームに貢献することが求められる。