ハリルJが北朝鮮戦で見せた問題点
一方、インサイドハーフに入った柴崎岳は後半18分にゴール正面からシュートを放ち(これは決めてほしかった)、後半39分には武藤のシュートを導くパスを出したが、ゲームを落ち着かせ、攻撃にリズムをもたらしてほしかった。2013年の終盤、スーパーサブとして後半から投入され、ゲームの流れを変えていた遠藤保仁のように(もっとも、ハリルホジッチ監督はそれを柴崎に期待したわけではなかったのかもしれないが)。 数少ない収穫と言えるのは、U-22日本代表のキャプテン遠藤航がA代表のレベルで、しかも不慣れなサイドバックでも十分やれるだけのパフォーマンスを示したことだ。先制点のアシストもさることながら、守備面の1対1でも負けていなかった。同じく代表デビューとなった武藤の質の高い動きとスムーズなフィニッシュワークも目についた。これまでの代表チームにはいないタイプで、この“オーディション”に勝ち抜き、今後のワールドカップ予選に招集されてもおかしくない。 個人的に注目していた「アウェーの過酷な環境、条件で、誰が戦えるのか」という点においては、山口蛍の名前を挙げたい。ボール奪取力、指揮官の言う「デュエル(1対1での強さ、フィジカルコンタクトの強さ)」を発揮していたのが、このボランチだった。 初戦で痛恨の敗戦を喫し、あとがなくなった日本代表。韓国との第2戦ではメンバーが大幅に入れ替わることが予想される。この屈辱的な敗戦をベンチで眺め、「次はオレたちの番だ」と闘志を燃やしている選手たちと、北朝鮮戦でわずか56分間しかプレーしていない宇佐美貴史の奮起に期待したい。 (文責・飯尾篤史/スポーツライター)