超希少疾患と診断されたわが子 孤独と不安を乗り越えるため自ら患者会を作った母親の思い
現在は、まずSNSで情報発信する方法が主流だ。ブログやホームページを自ら運営しているケースもある。 情報発信や交流を手助けするため、協議会は「希少疾患交流情報サイト」というホームページを立ち上げた。既に活動している患者会だけでなく、まだ患者会はないけれど同じ病気の人と接点を持ちたい人のSNSのアカウントやホームページを掲載している。現在、約70の病気が登録されている。 また、協議会では年1回、患者会の運営を担う人材を育成する研究会を開催している。既に患者会に入っている人が主な対象者だが、これから会を立ち上げようとしている人も参加できる。2日間の研修で、患者会の役割、同じ病気の人からの相談に対応する方法、国の難病対策などを学ぶ。参加者同士の交流の場にもなっている。 協議会常務理事の辻邦夫さんは「患者同士で助け合い、励まし合うことも、患者会という組織があってこそできる。正しい情報は何か、いま最新の情報は何かを見極めて発信していくのは一人だけの力では難しい。専門の先生の力も借りながら組織として取り組んで行く必要がある」と指摘する。
▽長く続けていくために 最近では、民間企業がコミュニティ作りを支援する動きも進んでいる。Buzzreach(東京)は患者や家族が同じ境遇の人とつながれるSNS「ミライク」を運営しており、QLife(東京)は希少疾患の患者や家族が体験の共有や交流ができるサービスを提供している。 ただ、SNSを使うのが得意でない人、同じ病気の患者を見つけてもダイレクトメッセージを送るのをためらってしまう人、人間関係を作っていくのが不安な人。みんなが交流の場を作っていけるとは限らない。患者会を立ち上げたとしても、どう活動を継続していくかは手探りの場合が多い。 歌織さんは取材でこう話していた。「片っ端から相談したことで前に進んだ気がする。相談できる人がいたら進む勇気がもらえる。ただ、効率的ではなかったかもしれないし、まだ全然分からないことだらけ。まず何をして、次に何をしたら良いかというノウハウがあったら困らないで済むかもしれない。今は一人で運営しているので、将来どう続けていくかも課題です」。