なぜ阪神は西の完封&佐藤の1号2ランの“連敗ストップあるある“の模範試合でトンネル脱出に成功したのか
入場制限が解除された甲子園には3万7408人のファンが詰めかけていた。開幕9連敗の異様なムードの中で帰ってきた瀕死のチームに温かい拍手を送り続けていた。古い話で恐縮だが、巨人の江川卓氏が「特別な場所。集中力を崩すくらいの熱気が甲子園にはあった」と語るほどの“見えない第3の力“が甲子園にはある。 西も「久しぶりにたくさんの方々に来てもらって、後押しというか、いつも出ないようなパワーが出た」と感謝を伝え、「毎日きて下さい。お願いします」と呼びかけたほどだった。 ひとつ間違えば、えげつない罵声も飛び交う場所だが、開幕9連敗くらいでファンは矢野阪神を見捨ててはいない。 「本当にうまくいかないことばかりですけど、テレビをご覧の皆さんも、うまく行っている人生を歩んでいる方ばかりではないと思うんでね。僕たちももがきながら苦しみながら前に進む姿から、元気を届けられるような、そういう気持ちでみんな戦ってくれたと思います」 矢野監督は9連敗ストップの裏にあった選手の思いをそう代弁した。 だがまだ1勝しただけ。1勝9敗の借金「8」の重い現実が目の前にある。1か月に返すことができる借金は「3か4」とされているから、開幕9連敗の代償は、この先、2、3か月はのしかかってくることになる。その頃にはセが圧倒的に不利とされる交流戦にもぶつかる。勝利方程式もまだ不透明。打線の“つなぎ“が機能していないケースも目立つ。チームの課題をひとつひとつ解消しながら、コツコツと借金を返すしかない。 矢野監督も「あまり先のことを考える余裕もないですけど、明日の試合に全員で全力で戦っていきます」と言う。 佐藤は頼もしく、こう宣言した。 「今日をきっかけに明日からもっと勝って巻き返したいなと思います」 重要なのは長期連敗を脱出した翌日のゲーム。阪神は伊藤、横浜DeNAは石田のマッチアップだ。(文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)