日産・マリノスより長く在籍した12年…柏を退任する井原正巳監督「本当に素晴らしいクラブ」
[12.8 J1第38節 札幌 1-0 柏 プレド] 「残留争いをしてしまったことは自分の責任だと痛感しています」 【動画】アウェー中国戦の裏で起きていた珍事…日本代表FWがSNS上の声に反応「わざと」 敵地での最終節を終えて残留を決めた柏レイソルの井原正巳監督は、試合後の会見でシーズンを振り返った。4日前に退任を発表していた指揮官にとって、北海道コンサドーレ札幌が柏でのラストマッチだったーー。 2009年に高橋真一郎監督とともにヘッドコーチとして着任し、同年7月から就任したネルシーニョ監督のもとでも引き続きヘッドコーチに。その年はJ2降格の憂き目にあったが、10年にJ2優勝、11年には史上初(当時)の昇格即J1優勝を遂げた。さらに、12年に天皇杯、13年にナビスコ杯(現ルヴァン杯)と国内主要タイトルを3年連続で獲得。ネルシーニョ監督が退任した14年までヘッドコーチを務めた。 翌15年からはアビスパ福岡の監督に就任。1年目でJ1昇格を果たし、4シーズンにわたって指揮をとった。そして、柏にとって3度目のJ2降格となった19年、ネルシーニョ監督とともにヘッドコーチとして柏に帰還。23年5月にはネルシーニョ監督の後を受けて監督に就任した。8月以降は守備が安定し勝ち点を重ねるも、最終節まで残留争いを演じることになった。リーグでは低迷する一方で、天皇杯では決勝に進出。内容では上回るもPK戦の末に、川崎フロンターレに敗れた。 そして、監督就任2年目となった24シーズン、開幕から2勝1分のスタートダッシュに成功して順位を2位まで上げたが、徐々に順位は落ちてしまう。第10節以降は二桁順位にとどまり、最終的には残留圏ギリギリの17位でフィニッシュした。 「勝っていてもおかしくないゲーム内容を落としてしまったり、勝ち点をひろえなかったり。最後の5試合、6試合に集約されているとは思うんですが、そういうシーズンだったと思います」 チームの低迷は自らの責任にあると指揮官は結論づける。 「試合巧者であるチームは、勝ちゲームは勝ち点3をしっかりと拾っていく、もしくは厳しい試合でも勝ち点を拾っていくっていうゲーム運びができるチームが本当の強者だと思いますので、やっぱそういう部分が我々には足らなかったのかなと。それはもちろん私の力不足だと思いますし、反省点として今シーズンはある」 17位に沈んだが、内容で相手に圧倒された試合は決して多くない。実際、1点差以内の試合が38試合中31もあり、「どちらに転んでもおかしくない試合」が続いた印象だ。 井原監督は、1990年の日産自動車時代から1999年までの10シーズン、トリコロールのユニフォームをまとい「ミスターマリノス」と称される現役時代だったが、柏に所属した年数はそれを越える12シーズンとなった。 「J2に落ちた中からネルシーニョさんの第一次監督の時代にコーチとして仕事をさせてもらって、レイソルのリーグ優勝やカップタイトルを取れたことは、本当に素晴らしい経験を積ませてもらいました。2回目に戻ってきたときもJ2からの戦いがあり、1年でJ1に復帰しなければいけないミッションを選手、スタッフ、サポーターとともに多くの勝利やタイトルに絡めたことは、本当に自分のかけがえのない財産になっていると思います」 そして、井原監督は柏への思いを続ける。 「スタジアムであったり環境っていうのはJリーグの中でも恵まれていますし、あれだけの施設の中に全てのカテゴリーのチームが一緒に隣り合わせで練習をしたり、本当に素晴らしいクラブだというのを感じながら過ごした12年ではありました」 自身の今後については白紙であることを明かすも、指導者への意欲をのぞかせて会見場を後にした。