スーパーフォーミュラ初ポール獲得のKCMG、舞台裏で行なわれていた配置転換。ベテランエンジニアが“福住担当1戦目”で得た手応えと今後の展望
富士スピードウェイで行なわれたスーパーフォーミュラ第4戦、Kids com Team KCMGはシリーズ参戦15年目にして初のポールポジションを獲得した。ポールシッターの福住仁嶺は、ピット作業でのタイムロスが響いてポジションを落とす憂き目に遭ったが、レースペースの良さを活かして追い上げを見せて4位フィニッシュ。勝ちを逃した悔しさは当然あるだろうが、チームにとっては光明が差す、そんなレースにもなっただろう。 【動画】2024年スーパーフォーミュラ第4戦富士:決勝ハイライト 実は富士戦を前に、福住が乗るKCMGの8号車はエンジニア体制の変更があった。今回(厳密には2週間前の富士公式テスト)から担当のトラックエンジニアが田坂泰啓氏に変わり、開幕3戦での担当だった笠井昭則エンジニアはテクニカルディレクターとしてチームを統括する立場となったのだ。 田坂エンジニアはかつて中嶋企画(NAKAJIMA RACING)に所属し、2000年には今でも伝説となっている高木虎之介の“10戦8勝”に貢献するなど、様々な実績を残した。その後移籍したREAL RACINGには昨年まで所属し、スーパーフォーミュラでは最近までB-Maxのエンジニアも務めていたが、今年からKCMGで働くこととなった。KCMGの松田次生アンバサダーとはF3時代から25年来の付き合いであり、今回のチーム加入にも松田の推薦があったという。 大ベテランの田坂エンジニアは、いわゆるオールドスタイルな、天才肌の感覚派エンジニアと評される。開幕当初は7号車の小林可夢偉を担当していたのだが、実は小林は開幕前テストの段階から、自身とのコンセプトや方向性の違いを感じ取っている旨をメディアに漏らしていて、両者のケミストリー(連携)構築に時間がかかりそうな雰囲気が漂っていた。 結果的に7号車の担当エンジニアは、チームのコーディネーターである関口雄飛の推薦もありイタリア人のコシモ・プルシアーノに。田坂エンジニアはシーズン途中から8号車陣営の動きを観察して学習を進めた後に、富士テストから正式に福住担当エンジニアとなった。現在のオペレーションでは7号車に関口、8号車に松田がついていることから、KCMGはフォーミュラでの実績豊富な現役レーシングドライバーが自らの推薦したエンジニアと共にドライバーをサポートする、という贅沢な体制となっているのだ。
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