平日に学校を休んで家族旅行はアリ? 休んでも“欠席扱い”にならない「ラーケーション」が全国に広がる背景とは
■「仕事の都合で難しい」保護者が23% 愛知県教育委員会がラーケーション導入初年度の今年1~2月、市町村立学校の保護者を対象に実施したアンケートによると、「既に取得した」「取得する予定」が合わせて35.4%。一方、「取得したいが、仕事の都合で難しい」という保護者は23.6%という結果でした。 愛知県教育委員会の担当者は、「ラーケーションは、子どものラーニングと大人のバケーションで、そこで子どもは何を学ぶかを明確にすることが重要です。遠出しなくても親の職場を見学する、公園で生き物を観察する、親子で料理をするなど、活用方法はさまざま。大切なのは、子ども本人が追究したいことを親子で探究することです」と話します。 ■「ラーケーション制度」、課題は? 子どもの新たな可能性が広がるラーケーションについて、元小学校教員で教育評論家の親野智可等(おやのちから)さんは、「いつもは忙しく過ごす親子が、“ほんもの体験”を伴いながら一緒に過ごせる素晴らしい制度」と評価します。 一方で、児童生徒の格差が出ないよう気を付けることが大事だと指摘します。 「ラーケーションに限りませんが、よく言われていることは、親の経済格差によって子どもの体験格差が生まれる、ということです。でもお金や時間が十分にない親はいっぱいいるわけで、そのまま自然に任せていると、格差が拡大することは目に見えています。 校外での学びという意味では、家の中や近所でもラーケーションにはなるかもしれませんが、やっぱり子どものときめき感は少ないでしょう。子どもは必ず友だちと比べてしまいます。 だからこそ補うものが絶対必要になるわけです。いろいろなアイデアがありますが、ラーケーションで利用できるクーポン券を出すなど、自治体の補助が必要になってきます。こういうところに自治体はお金をかけるべきです」(親野さん) ■「家族旅行で学校を休む」 それっていいの? 旅を教育と捉える「旅育」の考え方も広がるなか、ラーケーションに関わらず、平日に小学校を休ませて国内外を旅行したり、アミューズメントパークを楽しむ家庭も、以前より増えているようです。「私の時代は、『熱があっても学校へいけ!休むなんてとんでもない』と言われていたので、家族旅行で学校を休む子どもの同級生たちを見ると、違和感がある」(港区の40代女性)という意見も。こうした現状に対して、親野さんは「これも当然いいことだと思う」と肯定します。