直線鋭く伸びてスワンSを制したダノンマッキンリー（中央）（撮影・白石智彦）

＜スワンS＞◇26日＝京都◇G2◇芝1400メートル◇3歳上◇出走17頭◇1着馬にマイルCS優先出走権 　3歳馬ダノンマッキンリー（牡、藤原英）が、3月のファルコンS以来となる復活の重賞2勝目を挙げた。繊細な気性を考慮して、初騎乗の松山弘平騎手（34）が細心の注意を払い、大外枠から豪脚を引き出した。今後は心身の状態を見極めて検討される。 　　　　◇　　　◇　　　◇ 　腹回りを汗で白く染め、発馬機に身を収めた。闘志を熱く高ぶらせるダノンマッキンリーとは対照的に、松山騎手は冷静だった。「乗り難しく敏感な馬なので、オンとオフをしっかりつけようと思った」。手綱に力を込めて行きたがるのをなだめ、中団後方で我慢させる。内にスペースが見えても、馬群を避けるためにあえて外を回した。 　直線で左からステッキをたたき込み、満を持してスイッチオンだ。ためたエネルギーで筋肉を激しく伸縮させ、みるみるうちに突き抜けた。テン乗りとは思えない手綱さばきで豪脚を引き出した鞍上は「リズム良くいけて、いい脚を使ってくれた」と声を弾ませた。 　繊細な気性に合わせた教育法が実を結んだ。決して無理使いしない藤原英厩舎にあって、夏に中1週で2戦へ出走させた。藤原英師は「経験させて、レースに慣れさせた。調教だけでは難しいから。それがうまくいった」と目を細めた。 　扱いが難しいからこそ、すぐに次戦は決められない。マイルCSの優先出走権を獲得したものの、トレーナーは「選択肢もあるし、まだ3歳やから。ここで変な方向に行かないようにしないと」と即断はしなかった。素質は一級品。焦らず焦らせず、山頂へと導いていく。【太田尚樹】 　◆ダノンマッキンリー　▽父　モーリス▽母　ホームカミングクイーン（ホーリーローマンエンペラー）▽牡3▽馬主　（株）ダノックス▽調教師　藤原英昭（栗東）▽生産者　ノーザンファーム（北海道安平町）▽戦績　9戦4勝▽総獲得賞金　1億2190万2000円▽主な勝ち鞍　24年ファルコンS（G3）▽馬名の由来　冠名＋アメリカの山の名