球界大御所が楽天マー君と元広島“男気”黒田博樹氏を“辛口比較”「田中は黒田にはなれない」
ただ黒田氏と異なるのは、年齢の問題もあるが、ここで骨をうずめるのか、またメジャー復帰するのか、という点だ。田中は2年契約だが、2年目は契約破棄できるオプトアウト契約を結んだ。そこを隠さないのが田中の人格の優れているところだが、復帰会見では、「どうなるかわからないが、まだアメリカでやり残したこと(ワールドシリーズ優勝)はあると思っている。そこに関しての選択肢、オプションは捨て去りたくなかったのでこういう契約にしてもらった」と明かし、「腰掛けでなく本気で日本一を取りにいきたい。生半可な気持ちではどこの世界でも成功することはできない」とも約束した。 だが、黒田氏は優勝に2年かかった。もし今年優勝を手にすることができなかった場合に田中はどうするのか。広岡氏が疑問に思うのは、その覚悟の差だ。 さらに広岡氏はマー君が黒田氏の再来となれないもう一つの理由を指摘した。 「黒田が戻ってきたとき、広島も緒方が監督就任1年目だった。彼も1年間、監督というものを勉強して2年目に優勝を手にした。楽天も石井が就任1年目だ。しかも彼はGMとの兼任となっている。私もGM経験者だが、GMと監督の二刀流などできるわけがない。田中を使う方に問題がある」 広岡氏は監督として未知数の石井監督の手腕に疑問を投げかける。 「早くもおかしいことをやりだした。田中を開幕第2戦に投げさせるという。当時、黒田は年齢的なこともありメジャー流の調整でキャンプ合流も遅れていた。しかもマエケン(前田健太)という若いエースもいた。だが、田中は早くからチームに合流していて調整も順調だ。一番いいピッチャーを最初に持ってきて1年間ローテーを引っ張ってもらうのが、ペナントレースを勝ち抜くための原則。しかもファンの期待感もある。開幕投手に指名された涌井も実績のある投手だが、考えられない起用法だ」 石井監督は3月26日の日ハムとの開幕戦に涌井秀章を指名、マー君は翌27日の第2戦に回した。石井監督は、マー君が投げる土曜日が調整の難しい金曜日のナイターからのデーゲームになることを理由に挙げたが、相手エースとのマッチアップを避けてマー君で貯金を稼ぎたいとの狙いもある。ちなみに黒田氏が復帰1年目に先発したのはヤクルトとの開幕カードの第3戦。開幕投手は前田健太が務め、第2戦はジョンソンだった。 広岡氏は力のあるチームは正攻法を採るべきだとの考え方を持つ。広岡氏は「練習試合を見てきたがソフトバンクは強い。田中一人ではソフトバンクには勝てない」とも苦言を呈する。 3.27の復帰戦に向け“中6日”の開幕想定調整を始めた田中のオープン戦での試運転は残り2試合となった。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)