マー君が求めた捕手技術「フレーミング」の誤解…日本は先進国だった?!
楽天に復帰した田中将大(32)が沖縄キャンプで太田光(24)ら若手のキャッチャーにキャッチング技術の重要性を説いてメジャーで主流となっている「フレーミング」という技術がクローズアップされている。「フレーミング」とは何なのか? にわかに注目を集めているキャッチング技術についてWBC、北京五輪など国際試合経験もある元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏に聞いてみると意外な事実が…。
15年前のメジャーでは審判侮辱のNG行為
楽天のマー君が沖縄キャンプのブルペンで太田ら若手の捕手陣に「音(捕球の際のミット音を出すこと)よりもストライクはストライクと際どいところをきっちり取ってもらえるようなキャッチングをしてくれたらいい」とアドバイスを送ったことで注目を集めることになった「フレーミング」。ボールか、ストライクかの微妙なコースのボールを捕球する際にミットを微妙に動かしピタっと止めストライクに見せるという、近年のメジャーリーグでは主流となっているテクニックである。 だが、里崎氏は、「フレーミングに関しては日本が先進国。何もメジャー流の新しい技術ではありません」と主張した。 実は、2006年のWBCの代表メンバーに選ばれた際に里崎氏は、国際試合の審判、つまりメジャーリーグの審判対策として、こんな注意を受けたという。 「絶対にミットを動かすなと。メジャーでは、それをやると審判への侮辱行為となり、ストライクもボールに取られることになるんだと。つまり、この時点ではフレーミングと呼ばれる技術はメジャーではNGのプレーだったんです。日本ではもっと前から古田敦也さんを筆頭にフレーミングの上手い捕手がたくさんいましたが、メジャーでは主流ではありませんでした。僕の記憶では、モリーナがやり始めたことで注目を集め、どんどん発展し、10年以上をかけて今では主流になってきています。何も珍しいメジャー流テクニックではないんです」 メジャーではトラッキングシステムの導入により2007年から際どいボールをストライクと判定された数を数値化できるようになった。当時トップの数値を叩き出していたのでヤディア・モリーナで、この頃からフレーミング技術が注目されるようになった。その後、このデータランキングのトップクラスにいたタイラー・フラワーズのフレーミング技術が「世界一」と評価されるようになり、2020年のUZR数値のトップは、”モリーナ二世”と呼ばれるレッドソックスのクリスチャン・バスケスだった。