【高槻発】農業×エンタメで切り拓く未来 ぶどう農園を地域活性化の拠点となる「農業テーマパーク」に
住民や観光客、企業を巻き込む参加型農園
ノウタス高槻農園の社長には、長野のぶどう農家でノウタス専務でもある岡木宏之さんが就任。遠隔でぶどうの栽培の様子を確認し、高槻農園に常駐するスタッフに指示を出して作業を進めます。 事業の大きな柱は「観光農園」「研究開発」の2つ。観光農園としては、地域に開かれた農園を目指しています。ぶどうの産地化だけでなく、観光客や住民がかかわる参加型の農園となることで、「まちのコミュニティ拠点」にしていくつもりです。 2024年9月からは「シェアツリー」のサービスも開始。1人もしくは複数人で1本のぶどうの木をシェアし、その成長過程を見守りながら収穫を楽しむというものです。収穫だけでなく「木を育てる」ことに参加することで、農業にかかわる体験を提供していきます。 髙橋「我々はノウタス高槻農園をひとつのテーマパークにしていこうと思っています。農業にまつわるいろいろな体験ができることで、エンターテインメントとしての農業を楽しんでもらいたいですね」
研究開発では、大学と連携し、遺伝子解析の技術を活用した品種開発研究を行う予定。栽培される数が減ってしまった品種を引き取り、希少品種の保存区画を作る計画もあります。 さらに再生エネルギーの分野での研究もあります。桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授とは次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)の鳥獣被害対策用電源への活用の検証を行います。
一方、マネタイズとしては、ぶどうや加工品の販売、観光農園事業のほか、企業との提携による収入も見込んでいます。最先端の育種研究施設を建設することで、企業からの新品種開発依頼や実験にも活用していく考えです。
企業トップ層からの強い関心
企業のニーズはそれだけにとどまらないと、髙橋さんは語ります。 髙橋「コンサルタントとして企業の異業種参入を手伝う中で、農業参入支援も多くあります。その実践の場として企業に活用してもらうケースもあると思っています。 新しい技術の実験の場とするだけでなく、農園近くでテレワークをしながら、農作業の現場に携わる経験を社員に提供したいと考える企業もいるはずです。そのためのコワーキングスペースも今後、用意していきたいと思っています」 企業からも多くの関心や協働のオファーを受けているノウタスですが、その背景には、企業トップの高い社会貢献意識があります。 髙橋「ノウタスを立ち上げたときに、企業の経営層の方々から『話を聞いてみたい』と言われて、プレゼンする機会が幾度もありました。 現場の方と話していても、企業の興味・関心の高さは感じていたのですが、それ以上にハイレベルなトップ層がこれほど農業に関心を持っているのかと驚かされました。 ビジネスとしてはもちろんですが、社会貢献として、僕らのようなビジネスを応援したいという気持ちがトップ層になるほど強いのを目の当たりにしましたね」