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前回記事「「パパ活」不倫に「罪悪感」も「被害者意識」も覚えないのはなぜなのか？…作家・鈴木涼美が解き明かす、現代日本の「不倫」」で「不倫」は大きく二つに分けられるという話を紹介した。一方は、金銭の授受がなければ成立しない「貧困型」の不倫、もう片方が、金銭の授受がなくても成立する「エリート型」の不倫である。 【マンガ】60歳の不倫夫が、ラブホテルでいつも「同じ部屋」を予約する理由 「貧困型」は、いつの時代も絶え間なく続いてきた階級差を前提とした不倫の系譜であり、現在では「交際クラブ」や「パパ活」などが代表的な例である。 では、「エリート型」の関係は、一体どのようなものなのだろうか？ 本記事は、注目の新刊『不倫論　この生きづらい世界で愛について考えるために』より一部抜粋・編集してお届けする。

「フルタイムの恋愛は無理」

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私の友人で、外資系の証券会社に勤めるヨシミ(仮名)は、自他ともに認めるオジサマ好きな女性である。学生時代に付き合っていたのも多くが40代以上、最も若かった恋人も12歳年上で、逆に同年代や年下との恋愛経験はない。 現在35歳の彼女が年上の、落ち着いた男性と出会うとしたら、自然と相手側が既婚者の場合が多く、現時点でも50代後半で会社経営者の既婚男性とすでに2年近く恋人同士の付き合いを続けている。 彼女の生活は、かなり忙しい。当然、月～金曜は仕事だが、土曜日も高確率で出勤する。仕事が立て込んでいる時期は睡眠時間を削られるほど帰宅が遅くなる場合もあり、彼女の言葉を借りれば「フルタイムの恋愛は無理」ということになる。 仕事のない土曜や日曜は、女同士の食事や買い物の予定も入るし、彼女の性格的に美容にいっさい手を抜かずに高収入の仕事を続けることを重視しているため、ネイルサロン、美容院、美容皮膚科、骨盤矯正など通っているサロンはかなり多い。 一方、50代の経営者も基本的には多忙で、家族と暮らす横浜市の自宅の他に、仕事にも使うマンションを麻布に借りており、もともと週のうち2～3日はそちらに泊まっていた。当然、会食や飲みに行く予定も多く、ヨシミと会うのはその多くが深夜、ヨシミの六本木の自宅となることが多い。 当初、麻布のマンションに何度か招かれて行ったこともあったが、化粧品や洗面用具が揃わない部屋に泊まると余計な手間がかかることもあり、彼女の家でちょっとした食事をしたり、セックスをしたりする関係に落ち着いた。会うのは週に一回か多くても二回。お互いの忙しい時期が重なれば二週間くらいは会わないこともある。