「医療費が食い物にされている」訪問看護師たちのMeToo運動 難病や末期向け老人ホーム、精神科で「不正、過剰な報酬請求」
訪問看護の回数や訪問するスタッフ数は、医師の「訪問看護指示書」に基づき、患者の状態に応じて看護師が判断するのが本来だ。 共同通信は綿引さんの証言を裏付けるサンウェルズの社内マニュアルを入手した。訪問看護の計画書や報告書の記載フォームに「1日3回」「複数人で訪問」を「必須で入力」などと書いてある。 PDハウスの訪問看護については、綿引さんのほかにも複数の看護師がほぼ同じ内容の証言をしている。その看護師たちは次のように話した。 「上司に異を唱えても『うちはそれで成り立っているんだから』『社員像にそぐわない』と言われた。後ろめたい気持ちがして、辞めた」 「会社の利益のために国民の税金や保険料を食い物にしているとしか思えない」 ▽会社は「一切ない」と否定 サンウェルズに見解を問うと、不正請求の指摘に対しては「過去に一部職員の知識不足で類似事例があったが、未請求または自主的に返還した」と回答。
訪問回数や複数人での訪問については、要旨として次のように答えた。 「入居者の95%が1日3回以上の訪問看護を受けているが、主治医の指示に基づき適切な訪問計画を立て、入居者や家族の同意を得ている。主治医のほとんどは神経内科の専門医で、指示は専門的知見に裏付けられている。複数人での訪問は入居者の約9割が利用している。パーキンソン病に伴うさまざまな症状で転倒の危険があるため、複数人での訪問が重要と考えている」 共同通信が9月2日に記事を配信した翌日には「(過剰な訪問看護や不正請求といった)事実は一切ない」との声明を発表。同20日には「事実関係や問題の有無を明確にする」として、弁護士らによる特別調査委員会の設置を発表した。 ▽「複数人での訪問を100%に」 関西の有料老人ホーム大手「スーパー・コート」(本社・大阪市)についても、現・元社員の看護師たちが話してくれた。 同社はホテルチェーン「スーパーホテル」と同一グループで、関西で老人ホームやパーキンソン病専門住宅を約50カ所運営。入居者向けの訪問看護ステーションも併設している。