アーノルド・パーマーのドライバースウィングをAIで分析【レジェンドを最新テクノロジーで大解剖①】
スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎にアーノルド・パーマーのスウィングを分析してもらった。 アーノルド・パーマーの連続スウィング写真
こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回は年末年始のレジェンド特別編として、「ザ・キング」ことアーノルド・パーマーのドライバースウィングをスポーツボックスのデータと共に解説させて頂きます。パーマーはフェードボールを得意としていましたが、その秘訣は ①バックスウィングよりダウンスウィングのほうが手は前に出る ②ハイフィニッシュでも実はフォローは左に振り抜いている の2点がポイントです。それでは早速チェックしてみましょう!
バックスウィングよりダウンスウィングのほうが手は前に出る
まず最初の特徴の「ハンドパス」(手の軌道)に注目しましょう。アドレスを0として、手が前後にどれだけ移動したか? を表す「HAND THRUST」(手の前後移動。マイナスは背中側、プラスはボール側)のデータを見ると、トップでマイナス34.7cm(後方)で、切り返し(P5・左腕が地面と平行のポジション)でマイナス13.6cm(後方)と、トップと比較すると切り返しで手が前に出ていることがわかります。 スポーツボックスAIが独自で調査した、切り返しのポジションでの手の位置の海外男子ツアーレンジは、マイナス14.7cm~マイナス36.1cmですので、パーマーは切り返しにかけて手は前に出てくるタイプと言えます。切り返しで手が前に出るとクラブは背中側に寝るのでシャローに下りやすくなりますが、アウトサイドイン軌道の傾向が強いアマチュアの場合は、逆にスティープに下りてしまうケースもあります。その違いをこれから解説しましょう。
シャローとスティープの境界線。ポイントは右ひじにあり
それでは、一般アマチュアの例とパーマーの違いを3Dアバターの比較で解説しましょう。どちらも切り返しのポジションで、左のアマチュアは「手の前後移動」がプラス12.1cmで、手がすでにアドレスより前に出ているのに対して、パーマーはマイナス13.6cmで、バックスウィングより手は前に出ていますが、アドレスの位置よりはまだ後方に残っています。 両者の最大の違いは「右ひじの屈曲角度」(TRAIL ELBOW FLEXION)です。左のアマチュアは96度で、すでに右ひじが伸び始めていますが、パーマーは79度で、まだ右ひじは曲がったまま切り返しています。その結果、ダウンスウィングのシャフト角度を表す「SHAFT DTL ANGLE」(マイナスの数値が少ないほどスティープ、多いほどシャロー)は、アマチュアがマイナス34度、パーマーがマイナス38度で、アマチュアよりパーマーのほうがよりシャローにクラブが下りています。 アマチュアの方で、「シャローイングに取り組んでいるけど、なかなかクラブがシャローにならない」という方は、パーマーのように右ひじが曲がったまま切り返すように練習すると良いでしょう。