本当に意味ある?東京都の「週休3日制」、次々と浮かび上がる「懸念の声」
都の週休3日制の狙いは「女性活躍」
週休3日制には大きく分けて2つのタイプがある。1つは、1日の労働時間を8時間以上に増やすことで月の労働時間と給料を変えずに週休3日にするタイプと、もう1つは週休3日になって労働時間が減る分、給料も減るタイプだ。 東京都が導入する週休3日制は、給料を変えないタイプだ。フレックスタイムを活用して1日の労働時間を10時間に延ばし、4週間で155時間の労働時間を確保することで、週にもう1日休みを取ることが可能になる。すでに導入されている宇都宮市や千葉県の週休3日制も同様である。 東京都が週休3日制を導入する目的は、小池都知事の所信表明演説から明確に「女性活躍」のためである。 小池知事は、女性活躍が世界から立ち遅れていることを「わが国の積年の課題」であるという。週休3日制は、女性活躍の輪を日本全体に広げるためにスタートさせるプロジェクト「Women in Action」、略して「WA(わ)」の一環として、出産や育児といったライフイベントによって自らのキャリアをあきらめない、より柔軟な働き方を可能とするために導入するとしている。 ここで浮かぶ疑問として、都民や都内企業の立場から、休みが増える職員がいる中で提供される行政サービスの質が落ちることはないのだろうか。しかし、それ以上に、長い労働時間と引き換えの週休3日が本当に「女性活躍」に寄与するのか、という疑問もある。 週休3日制が導入され、それを選んだ場合の都職員の正確な勤務時間は分からないが、おそらく早い場合で午前8時30分から午後7時30分まで、遅い場合で午前9時30分から午後8時30分までのような働き方ではないかと思われる。このような働き方で本当に「出産や育児といったライフイベントによって自らのキャリアをあきらめ」ないで済むのか、単純なイメージでは難しそうに感じる。 宇都宮市で試験運用された週休3日制の事例を見てみると、いくつかの課題が浮き彫りになっている。具体的には、出勤日の労働時間が長くなることで職員の負担が増えたことや、年次有給休暇が取得しづらくなったことへの懸念が報告されている。実際、宇都宮市で週休3日制を試験運用を開始していを場合の報道では、出勤日の勤務時間が長くなることや年次有給休暇が取得しづらくなることへの職員の懸念の声が挙がっていた。 このような問題は、東京都が制度を実施する際にも考慮すべきポイントだ。