本当に意味ある?東京都の「週休3日制」、次々と浮かび上がる「懸念の声」
東京都が大胆な一歩を踏み出した──小池 百合子都知事が12月3日の所信表明演説で発表した「週休3日制」の導入である。単なる休みの増加にとどまらず、働き方改革の切り札として女性の活躍促進を目指すこの取り組み。だが、行政サービスの質や非常勤職員への影響といった課題も浮上している。東京都の試みが成功を収めるために必要な条件とは何か。多様な働き方の可能性を探る。 【詳細な図や写真】週休3日制についての政府/自治体の動き(出典:筆者作成)
すでに週休3日制を導入している大手企業や自治体
東京都が今年度から週休3日制を導入する。 週休3日制導入は、東京都が特別先行しているわけではない。たとえば、宇都宮市は2023年から週休3日制の試験運用を重ね、2024年には全部署に導入し、今年から本格導入を目指している。また、千葉県も2024年6月から全部署に導入している。 企業では、ファーストリテイリングやヤフー、佐川急便などがすでに週休3日制を導入しており、みずほフィナンシャルグループでは週休3日だけでなく週休4日も選べる制度がある。そもそも、政府も2021年の「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる「骨太の方針」でも、週休3日制の普及が盛り込まれていて、この頃からすでに“国策”となっている。 小池都知事も所信表明演説の中で「隗(かい)より始めよ」という故事に触れ、「東京からゲームチェンジを起こす」と述べ、都から始めて民間企業にも波及させたい意欲を強調した。 インターネット上では賛否両論、というよりもネガティブな意見が目立つ。たとえば、「公務員の休みが増えることへの反感」や、「行政サービスの質がさらに低下するのではないか」といった声が挙がっている。 筆者は経営者の視点から、都が率先して週休3日制を導入することに違和感を抱く。優先すべき課題として、制度や事情から働けない人々の支援を求める声は無視できない。 たとえば、大きな話題を呼んだ“103万円の壁引き上げ”の議論があるが、制度の制約によって働く時間を抑制されている人々がいる。また、筆者が支援するシニア世代の中にも、元気で意欲があるにも関わらず、再雇用制度の影響で勤務日数を減らされている人は少なくない。 こうした批判的意見がある中、都が導入する週休3日制はほんとうにうまくいくのだろうか。