どんどん増える「清掃ロボ」、アイリスオーヤマ・森ビル・日建設計が導く現場改革
止まらない人手不足と省人化ニーズを背景に、サービスロボットの導入が本格的に進み始めている。配膳ロボットの次に期待される分野は「清掃」だ。ロボットは万能機械ではなく、人と協働する道具である。そのため、道具を有効活用するには既存業務を分析し、ロボットをどのように組み込めば限られた人材を有効に再配分できるのかを考える必要がある。この目的を達成するための環境整備や共通規格の作成も進んでいる。すでに1万台の清掃ロボットを現場に導入したアイリスオーヤマ、ロボット活用に以前から積極的な森ビル、ロボットの活用がしやすいビルノウハウの蓄積を目指す日建設計など、各社の試みから今後の展望を探る。 【詳細な図や写真】アイリスオーヤマ 清掃ロボット「Whiz i(ウィズアイ)アイリスエディション」(写真:筆者撮影)
人手不足はまったなし、普遍的ニーズがある「清掃」ロボット
配膳に続くロボット普及が期待されている領域が「清掃」である。清掃は公共空間やオフィスビル、店舗、病院、介護施設などだけでなく、工場や物流倉庫、クリーンルームや建設現場に至るまで、あらゆる業務に存在する共通課題であり、普遍的なニーズがある。普及し始めると効果や影響は非常に大きい。 オカムラ/江口 乾湿両用掃除機対応清掃ロボット「STRIVER 2」 ビルメン2024 一方、今でも清掃における多くの作業が人手で行われている。先行する床清掃はともかく、トイレや風呂場など手間のかかる水回りの清掃をロボットで行うことは、まだしばらく難しそうだ。しかし今後も人手不足が解消されることは見込めない。 よって必ず人手を必要とする作業向けに人を確保し続けるためには、人手でなくても作業できる部分はロボットを使って自動化して、人員のシフトを組み替えて、人を回せるようにする必要がある。 i-team i-Walk 手動洗浄機を自動化 ビルメンフェア2024 ロボットの採用は各所で始まっている。しかしながらコストや現場運用での課題はまだまだ多い。ロボットは万能機械ではない。道具の1つにすぎない。何でもできるわけではない。だが床清掃の大半は十分な速度と品質で、できるようになっており、性能・価格的にも、だいぶこなれたロボットが市場に出てきている。 運用現場においても、「できないこと」ばかりに目を向けるのではなく、できる部分、コストが見合う部分を見いだせる人たちから、積極的な運用が始まっている。 エムエムインターナショナル/YIJIAHE クラウド管理可能な屋内業務用清掃ロボット「JNNY20」ビルメンフェア2024 そんな中、清掃や点検など、ビルメンテナンスに関する展示会「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 2024」が行われた。前回は各社から大量の清掃ロボットが会場に出展され、筆者自身もとても驚いた。今回ももちろんロボットは出展されていたが、やや落ち着いた印象だ。そうはいっても会場内は来場者たちの熱気であふれていた。 IWITH ROBOTICSが参考出展した「トイレ便器掃除ロボット」 ビルメンフェア2024 特に、IWITH ROBOTICS(アイウイズロボティクス)が参考出展していた「トイレ便器掃除ロボット」は、多くの人の注目を集めていた。手動で便器にセットすると自動洗浄する。現実に使える環境は限られていそうで、現状ではあくまでプロトタイプという印象だった。なおIWITH ROBOTICSは、販促機能も兼ねた清掃ロボットがファミリーマートに採用されたことでも話題になった企業である。