不動産会社の経営者が教える! 知らないと損する「物件退去時のNG行動」
物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介します。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、退去するときに知らないと、不要な費用が発生するなど損する「NG行動」について教えてもらいました。ぜひ参考にしてください! 【保存版】事前チェックを忘れずに! 知らないと損する「物件退去時のNG行動」まとめはコチラ
――春先だけでなく、8月後半から9月にかけて引っ越しが多くなるそうですが、それはなぜですか? 石岡 企業の転勤をはじめ、大学の後期が始まる前に1人暮らしを始める学生が増えるため、単身引っ越しの需要が高くなる傾向にあるのです。 ――なるほど。それでは、これから引っ越しをするにあたり、退去時に知らないと損するNG行動について教えてください。
NG1 「ガイドライン」の詳細を知らずにいる
退去する際には、原状回復のために必要となる設備の修繕や、ハウスクリーニングなど、次の住人が住める状態にするための退去費用を支払わなければなりません。 ところがこの退去費用が高くなることで、「敷金が返ってこない」「追加で請求された」といったトラブルになるケースが多発しているのです。 トラブルを回避するためにも、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(通称:ガイドライン)を熟知しておいてほしいです。 ガイドラインの詳細を知らずにいると、支払い義務のないものに対しても請求され、退去費用が高くなってしまう可能性があります。 入居者が原因となって発生した損耗や損害は、入居者の責任で修繕・補償を行う必要があり、これを「原状回復義務」と呼びます。 ただし、入居したときの状態に完璧に戻すということではなく、経年劣化によるもの(時間の経過によって品質が下がってしまうもの)等については支払う必要はありません。 退去時に入居者が支払わなくていい費用については次のようなものがあります。 ・家具家電を設置したことによる床のへこみ ・電化製品の電気焼けによる壁の黒ずみ ・ポスターやカレンダーによって壁にできた跡 ・画鋲やピンの穴(小さいもの) ・台風や震災による損傷 ・経年劣化による畳の表替えや裏返し ・経年劣化による網戸張り替え これらについて請求されてしまった場合は、「ガイドラインにより支払い義務はないはず」と伝えることで減額される可能性があります。 一方で、家具を移動させる際につけてしまった傷や、ペットがつけた傷や汚れなどは、入居者が一部負担しなければなりません。 あるお客様は、フローリングにデスクチェアで引っかき傷をつけてしまい、退去時に50万円を請求されていました。 そのようなことにならないためにも、入居時にチェアマットを敷くなどして対処しておく必要があります。 何より、入居時に不動産会社から渡される現況確認書(入居時チェックリスト)に、部屋の状態(設備の傷や汚れ)について記載して返送するのを忘れないようにしましょう。 また入居時の部屋の状態を証明できるように写真を撮っておき、不動産会社に送るのも有効です。 やることが多くて忘れがちですが、退去時に損しないためにも、入居時からしっかり備えておくことをおすすめします。