「さっさと終わってお酒飲みたい」第168回直木賞の小川哲さん会見(全文)
受賞後、愛する自由が脅かされるのでは
記者:分かりました。最後に、作家というお仕事は、いつも好きな時間に起きて好きなときに書いてるっておっしゃってまして、すごく自由な仕事だっておっしゃってましたけども、これも早く終わらせて早くお酒を飲みたいなってことなんですけど。 小川:そうですね。大変ありがたいことなんですけど、やっぱり待ち時間とかがすごく長くて。で、今、控え室には、もうなんか担当もいなくて、なんか変な空間になってるんで、早くお酒飲みたいなっていうね。別にこれが、この会見が嫌だとかそういうことではなく、ゆっくり静かにお酒を飲みたいなと思っております。感染症対策に気を付けながら。感染症対策しながら。 記者:すごく、直木賞を受賞されちゃうとハードなスケジュールが、結構お仕事の依頼とかあると思うので、ちょっと、小川さんの愛する自由というのが少し脅かされてしまうんじゃないかなと思うんですけれども。 小川:脅かされそうになったらもう、自由が脅かされるのでやりませんといって断っていこうと思います。 記者:分かりました。おめでとうございます。 小川:ありがとうございます。 司会:はい、どうぞ。前の方。
今後どの分野が中心軸になっていくのか
記者:報知新聞の中村です。小川さん、受賞おめでとうございます。 小川:ありがとうございます。 記者:「ユートロニカ」でのデビューから、SFでのデビュー、そして今回の歴史巨編、「クイズ」もありました。本当にさまざまなものを書かれるんですが、小川さんの中心軸というのは今後どの分野になっていくとかあるんですか、現時点で。 小川:僕はあんまり分野っていうのは考えてなくて。単に自分が読みたい本だったり、自分が面白いと思う本を作り続けていきたいなっていうだけで。僕の小説の着想の仕方が、ジャンルから着想することっていうのがないので。だから、あまりないので、ないとは言わないんですけど。だからあんまりどういう分野っていうのは気にせず、面白いと思うものを書き続けていけたらなと思います。 記者:今回、選考委員を代表して会見された宮部みゆきさんが、最高の冒険小説だと今回の作品をおっしゃってました。冒険小説という言葉はどのように。 小川:いや、うれしいですね。自分で書いてるときは冒険小説だ、歴史小説だっていう意識はかろうじてあったんですけど、冒険小説だと思って書いてはいなかったけど、そう言われてみると確かに冒険小説だと思って。この小説が持つ1つのまた可能性というか、1つの魅力を端的に引き出してくださったのかなと思います。 記者:あと1点だけですね。他作、近刊の『君のクイズ』を見た、読んだ、ある作家の方が、作家の決定的な弱点っていうのは、自分より頭のいい人を描けない。 小川:ああ、朝井リョウさんですね。 記者:朝井リョウさん。 小川:編集者が送ってきたんで。