「さっさと終わってお酒飲みたい」第168回直木賞の小川哲さん会見(全文)
建築とは時間だと思ったきっかけは
で、妹がそのトーストをベランダの室外機の裏に捨ててて、それが発覚して妹がすごい怒られて、お兄ちゃん、ちゃんと食べてるでしょうって怒ってたんですけど、僕は駅のごみ箱に捨ててたっていう、うそですかね。ちょっとなんか、こういうの一生残っちゃうのでね。なんかちょっと両親と妹に、親と妹にすごい申し訳ないんですけど。ちょっとあんまり、だから、なんか家族仲とか悪いとか、母親が料理が下手とかっていう、そういう捉え方をしてほしくはないんですけど、ちょっと今言われたので。 記者:今の回答がうそということはなく? 小川:あ、今の話は本当です。 記者:ありがとうございます。では最後、東京都、40代男性の方です。作中の中で、建築とは時間ですという作中人物の声に共感しました。これは作者の小川さんの声でもあるのでしょうか。私も変化の激しい東京にいてそのような思いを抱くことが多いのですが、小川さんが建築とは時間であると思った、そういう思いを抱いたきっかけを教えてください。 小川:例えば東京にいて、東京じゃなくても、京都とかでもいいんですけど、法隆寺なりなんなり、歴史的な昔からある建造物って今も残っているわけじゃないですか。奈良の大仏なりなんなり。そういうのを僕らは見にいったりするわけですけど。僕たちって自分が生まれる前の時代が本当に存在したかどうかっていうのは書かれた文章でしか結局理解ができなくて、あったらしいっていうことしか分かんないんですけど、建物っていうのはずっと残るので。つぶされちゃうこともあるんですけど。教科書とかに一応文字であったらしいと書いてある平安時代だったり鎌倉時代だったり江戸時代だったり、そういった時代に造られた建物っていうのを見ることで僕たちは、本当に過去がちゃんとあったんだなというか、こういう時代があって、その時代に生きている人がいたんだなっていうのを感じることができると僕は思ってて、別に、そういうところがあると思ってて、だからそういう思いを込めたっていう感じです。 司会:ありがとうございます。では最後の質問とさせていただきます。では一番前の。どうぞ。