敗れたストイコビッチ監督は森保Jの実力をどう見たのか?「日本に改善すべき点があるとすれば…」
「相手が大きいのでニアでフリックして、ファーで僕と(植田)直通が詰める形を狙っていました。それが上手くはまったかなと思っています」 均衡を破るCKは後半開始から投入されたフレッシュな2人、FWオナイウ阿道(横浜F・マリノス)とボランチの川辺駿(サンフレッチェ広島)が関わる形でもぎ取った。 DF植田直通(ニーム・オリンピック)のロングパスに、代表デビューを果たしたオナイウが抜け出し、敵陣の深い位置で身体の強さを生かしながらボールをキープ。押し上げてきた川辺が、オナイウが戻したボールをワンタッチで前方のスペースへ通した。 攻め上がってきた右サイドバックの室屋成(ハノーファー96)が放った低空の高速クロスを、セルビアの選手がかろうじてクリアしたボールがゴールラインを割った。 「チャンスがあれば素早く縦につけようと選手たちに伝えました」 植田のロングパスと川辺のスルーパスは、森保一監督がハーフタイムに与えた指示が具現化されたものだった。一方で失点してからは「試合の流れが変わってしまった」と振り返ったストイコビッチ監督は、特に前半を踏まえながらこう言及している。 「負けてしまったので何か特別なことを言うのはふさわしくないのですが、もし日本に改善する部分があるとすれば攻撃ですね。全体的にもう少しいい形でチャンスを作り、それが何回かできれば、今日の試合では3、4点を入れられていた気がします」 ストイコビッチ監督と試合後に言葉を交わしたわけではない。それでもトップ下として先発フル出場し、日本の攻撃を差配し続けた鎌田は、相手国の指揮官が看破した「もう少しいい形」が何を意味しているのかを具体的に理解していた。 「相手はいいチームでしたけど、それでももっと普通にできないとダメだと思う。今日の前半はまったく納得できなかった」 セルビアへ敬意を表しながらも、放ったシュートが自身と伊東のわずか2本だけに終わった前半の攻撃を振り返った鎌田は表情をこわばらせた。前線から連動してかけたプレスでボールを奪えた。問題はその直後のプレーにあると鎌田は続けた。 「みんながリスクを避けすぎて、後ろとか横へのパスが多かった。奪った瞬間にボールを前へつけるだけで、ビッグチャンスにできたシーンがあったのに。いまのサッカーは前からプレスをかけて、できるだけ時間をかけずにゴールを奪うのが主流。ボールを奪ってから落ち着いちゃうと、何のためにプレスをかけにいっているのかわからない」