もう、テストに意味はない…ムダの多い「日本の小学校教育」ほんとうに「頭が良くなる学習」の意外な方法
変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取った「VUCA」の時代と言われる現代。 【マンガ】カナダ人が「日本のトンカツ」を食べて唖然…震えるほど感動した一言 変化が目まぐるしく、未来の予測が困難で、正解の見えない時代に子育てする親世代は、いい学校に入っていい会社に入ってというこれまでの「正解」があてはまらず、将来を見据えた子どもの教育に頭を悩ませることも多いだろう。 『AIに潰されない「頭のいい子」の育て方』の筆者、富永雄輔氏はこれに「私が経営している塾の子どもたちを見ていると、幼いなりに彼らは「変わりゆく世界」にしっかりついて行っています。特別な説明を受けるまでもなく、彼らにとって世の中はどんどん変化するのが当たり前であって、確実なものなどありません」と話す。 不確実な現代で子育てをするなか、これからの時代を生き抜く我が子にとって、今必要な学びとはなにか。そのヒントとなる考え方を同書より、一部抜粋・編集してお届けする。
利点が大きいオンライン授業の普及
オンライン授業の普及で教育格差が解消すれば、スタートラインが揃います。しかしながら、スタートラインが揃えばゴールも揃うというわけではありません。実力に沿った平等な競争が繰り広げられるということです。 ただ、これからの時代は、一番でゴールテープを切ることだけが勝利ではなく、その子に最適なレース展開にすることこそが求められます。そうした意味でも、オンライン授業は秀でています。個々人の状況に合わせて、スケジュールが組めるからです。 実力が異なる大人数を相手に、対面で板書しながら進めている従来のやり方では、「わからない子ども」も「できる子ども」も我慢を強いられます。わからない子どもが質問している時間は、できる子どもにとってムダです。 できる子どもが発言している内容は、わからない子どもにはチンプンカンプンです。 それに、学校によっては、授業を邪魔するような困った子どももいます。そうした中で、一人ひとりのニーズに沿った教育をしていくことは不可能です。 私は、日本に「飛び級制度」がないことが、優秀な子どもたちの成長を妨げていると思ってきましたが、マイペースで学べるオンライン授業なら、飛び級に近い学び方もできるでしょう。もちろん、躓つまずいている子どもにも大きなプラスがあります。 たとえば、小学校の算数で二桁の掛け算が解けなくなっている子どもは、一桁の掛け算に戻ってやり直すことが必須です。しかし、大人数を相手にする対面授業では、三桁の掛け算や割り算に進まなくてはなりません。すると、「もうまったくわからない」という状態になります。 こうして、まったくわからない授業を聞いていることが、その子を徹底的な勉強嫌いにしてしまいます。 その点、オンライン授業なら、周囲からバカにされたりからかわれたりすることもなく、何度でも納得いくまで繰り返し学べます。そして、その子なりに「わかった」という小さな成功体験を積み重ねることができるのです。本来、教育というのは「分からないもの」を「分かる」ようにするのが本質なのですから。 加えて、オンライン授業の普及は、不登校やいじめの問題も解決に向かわせる可能性があります。 そもそも学校に頻繁に通う必要がなければ、不登校という概念もなくなるし、意地悪な同級生にも会わずに済みます。 友人に会いたいときやクラブ活動に参加したいときに学校に行くのもいいけれど、学校に行かないからといって授業が受けられないわけではない。 こうした緩やかなスタイルは、これまで学校を「息苦しい場」と感じていた子どもたちにとって、大きな救いになるのではないでしょうか。 …つづく<もはや禁止は意味がない…「AIに使われる側」から「AIを使う側」に育てる、学校教育「課題のつくり方」>では、たいていの小学校が行っている「AI禁止」がじつは無意味な理由を明かします。
富永 雄輔(進学塾VAMOS代表)