いま来てます、ユーフォルビア『12か月栽培ナビNEO 多肉植物 ユーフォルビア』発売記念・靍岡秀明さんインタビュー
生育タイプは春秋型で考えよう
この植物たちを日本で育てるにはどうすればいいんだろう。いつもそれを考えています。ユーフォルビアの生育型は夏型と一括りにされていた時期が長く、そのつもりで夏型のサボテンやパキポディウムなどと同じように育てると、弱ったり、傷んだり......。わたしも大切な種類をずいぶんダメにしてしまいました。 3月早くから成長を始め、夏は生育緩慢になったあと、また9月から本気を出して11月まで成長。この間、葉を出したり、花が咲いたりと変化していく姿が楽しめます。サボテンと比べると、低い温度帯を好んで成長することがわかります。 特に近年、夏は猛暑続き。夏型ではなく、春秋型と考えて栽培するほうが失敗が少ないようです。種類によっては夏型もありますが、それはもう一つの重要な原生地であるマダガスカルの種類や、より熱帯に近い地域原産の種類の一部に限られそうです。
日本初の品種の今後にも要注目!
つい先日も訪ねてきた若い愛好家とユーフォルビアの話になりました。彼は「これほど人気が出てるんだから、育て方をていねいに解説した本が欲しいよね」というのです。まさに! そんな本をつくろうと、作業の大詰めを迎えている最中のことでした。 本書の特徴は、初心者でも失敗しないように春秋型を生育タイプのメインとして解説したこと。夏型や冬型の情報も補い、どの種類も育てられるように配慮しました。図鑑ページでも、入手可能な代表種90種以上を紹介しました。 ユーフォルビアにこれほど多様な個性派がそろっているのには理由があります。定番の種類や個体がさし木などで維持される一方で、交配とタネからの栽培で、多様な姿の次世代が生まれやすくなっているからです。 いま注目したいのは、日本の栽培家や愛好家がこれまで以上に交配に力を入れるようになっていること。今後、日本発の個性派ユーフォルビアがどんどん誕生してくることでしょう。たしかに「ユーフォルビアは来ている」のです。 *本インタビューは『趣味の園芸』2024年8月号に収載された記事を再構成したものです。
靍岡秀明(つるおか・ひであき) 1972年、東京都生まれ。昭和5年創業の多肉植物・サボテンの老舗、鶴仙園の三代目。「サボテン愛」をモットーに、ていねいに栽培・管理した丈夫な株を販売する。近年、ハオルチア、アガベ、ユーフォルビアに力を入れており、販売している種の数は日本有数。