「出口」見えない宣言延長 自粛疲れの国民の心を動かせるか
●「今回で最後の宣言に」人流は下がっているが…
尾身会長が懸念するように、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言で対策を取っても、大阪府や東京都では新規感染者の増加に歯止めがかからない状況だ。 大阪も東京も「人流は下がっている」(尾身会長)が、それがなかなか感染状況の改善につながらない。尾身会長は、首相会見後の西村康稔(やすとし)経済再生担当相との会見で「人流が下がってから効果が出るまでは必ずタイムラグがあって、なかなか(宣言)期間内には下がらないだろうと当初から考えていた」と想定の範囲内との見方を示した。 まん延防止等重点措置が4月5日から始まっていた大阪では、夜間の人流は「かなり早い時期から下がっていた」(同)といい、「新規の(感染者数の)報告に来るのはタイムラグがあって、これから少しずつ新規の感染者が減ってくる可能性がある」。 ただし変異ウイルスの存在がその不確定要素になり得ると強調した。「下がり方が変異株の問題があって、どのくらい影響するかはこれから見ていく必要がある」。 尾身会長は再三の自粛要請に対する国民の「疲れ」や「慣れ」にも理解を示した。 「多くの方は、今回で緊急事態宣言は最後にして(ほしい)。もう1回、仮に出すとしてもなかなか協力は得られないんじゃないかと思っている」 尾身会長は、ワクチン接種が高齢者に行き渡るまでの間は「行動変容、基本的な(感染防止)対策を取ってもらうことが必要だ」と国民の協力がまだまだ不可欠だと指摘。自粛に疲れた国民の心を動かすには、政府と自治体が具体的に「こういう対策を取る」という方向性を示し、実行する姿勢を見せることが肝要だと訴えた。 「数値目標までは言えないかもしれないが、これを絶対にやるんだと。躊躇なくやるという覚悟。検査ももっと広げる。あと数か月が正念場と言うと『また』となるが、変異株のことがあるので、具体的な対策を難しいこと(障壁)があっても絶対に打つんだ、ということでやっていただく」