「出口」見えない宣言延長 自粛疲れの国民の心を動かせるか
「短期集中」の対策として始まった3回目の緊急事態宣言が5月末まで延長することが決まった。菅義偉(よしひで)首相は7日夜、官邸で記者会見を開き、ワクチン接種を加速すると宣言し、引き続き国民に感染対策への協力を求めた。しかし感染拡大は収束の気配が見えず、政府の新型コロナウイルス分科会の尾身茂会長は宣言の解除判断をめぐって政府に注文をつける場面もあった。 【動画】ワクチン「1日100万回の接種目標」菅首相が宣言延長で会見
●「また延長か」と失望する人も多いだろうが…
「ウイルスとの戦いは一進一退が続いている。また緊急事態宣言の延長かと失望される方も多いかと思う。しかし私たちは近い将来この局面を乗り越えていく」 3回目の緊急事態宣言の延長を決めた7日夜の会見で、菅首相はこう国民に誓った。首相が難局を克服するエンジンとして期待するのがワクチンだ。 「1日100万回の接種」目標を打ち上げ、あらためて7月末までにすべての高齢者の2回接種完了を目指すとした。「国民の皆さんに安心できる日々を取り戻していただくために、ワクチン接種の加速化を実行すること。それまでの間、感染拡大を食い止めること。この2つの作戦に私自身、先頭に立って取り組んでいく」
●「短期集中」期間設定は適切だったのか?
しかし、そもそも「短期集中で強い対策」をうたった今回の宣言をめぐっては、当初から17日間という過去の宣言に比べても短い期間設定に疑問の声が出ていた。この日の会見でも記者から、結局延長に至ったことへの政府としての総括や期間と対策が適切だったかについて問われた。 菅首相は「多くの人出が予想されるGWという特別の期間に短期集中的な対策として、感染源の中心である飲食の対策に加えて(休業要請など)人流を抑える対策を取った。その結果、対策を講じる前や前回の緊急事態宣言と比べても人出が少なくなっており、人流の抑制という所期の目標は達成できた」と具体的な数値基準は示さずに答えた。 さらに続けた。「しかし、こうした対策は国民生活に大きな制約を与える。今回の延長に際しては、平常時の時期に合わせた高い効果が見込まれる措置を徹底することにより対策を講じていきたい」 菅首相はこの日、このフレーズを繰り返した。別の記者が専門家からの「人流だけではなく新規感染者を減らすことが重要」との指摘を紹介しながら「高い効果が見込まれる措置」について聞いた際も、「GWという特別な時期において短期集中的な対策を講じたことで人出が少なくなっており、人流の減少については目的を果たせた」と重ねた。 高い効果が見込まれる措置については「これから平時になるので平時に合わせた高い効果が見込まれる措置を徹底する」とし、「飲食を中心にする対策を徹底して行っていく。それと同時に大規模施設も20時までの時短をお願いするとか、対策をしっかり行っていきたい」と述べたのみだった。