「出口」見えない宣言延長 自粛疲れの国民の心を動かせるか
●下げ止まっても宣言解除は「ぐっと我慢」
5月31日までの延長が決まった今回の宣言だが、「出口」はどう想定されているのか。宣言の解除基準についても質問が出た。 菅首相は「解除基準は基本的対処方針に書かれているように、ステージ4を脱却することが目安になるが、専門家や自治体の意見を聞きながら総合的に判断したい」と答えた。 基本的対処方針には緊急事態宣言の発出や延長、具体的な対策内容などが書かれている。そこには「緊急事態宣言解除の考え方」という項目があり、「ステージ3相当の対策が必要な地域になっているか」などを踏まえ、首相が専門家の意見を聞いて「総合的に判断する」と記されている。さらに「解除後の対策の緩和については段階的に行い、必要な対策はステージ2相当以下に下がるまで続ける」と明記されている。 例えば、指標の一つである10万人当たりの新規感染者数(1週間)でみると、ステージ4の指標は「25人以上」、ステージ3は「15人以上」となっている。5月6日時点の数値で東京は37人、大阪は74人と大幅にステージ4の基準を上回っている状況だ。 会見に同席した尾身会長は「ステージ3に入って、ステージ2への安定的な下降傾向が認められることが非常に重要」と補足した。その上で「感染者の数も重要だが、解除に当たっては医療状況のひっ迫が改善されていることが重要。今回明らかに変異株の影響が重要な要素になっている。解除するときには今まで以上に慎重にやる必要がある」とくぎを刺した。 さらに「最後に言いたいのは」と切り出し、新規感染者が今後十分に下がり切らなかった場合の忠告をした。 「多くの専門家は(感染者数を)なるべく下げたい。そうなることが理想だが、下げ止まりの状況があり得る。その時に下げ止まったからすぐ解除すると必ずリバウンド(感染再拡大)が来る。下げ止まっても、大まかな目安だが2、3週間はぐっと我慢することが次の大きなリバウンドになるまで時間稼ぎができる」 解除した後にはまん延防止等重点措置を活用することも一つの選択肢だとも付け加えた。