首相「各国選手と一般国民、交わらない」 五輪の安全強調、記者は「物理的に可能?」
菅義偉(よしひで)首相は7日、記者会見し、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に発出していた新型コロナウイルス対策の「緊急事態宣言」の期限を5月末までに延長し、新たに愛知県、福岡県を追加すると発表した。会見では7月23日に開幕式が開かれる予定の東京五輪・パラリンピックに関する質問が複数出た。コロナ禍での大会開催を疑問視する質問に対し、菅首相は「(各国から来日する)選手や大会関係者と一般国民が交わらないように滞在先や移動手段を限定したい。選手は毎日検査を行うなど厳格な感染対策を検討している」などと応答。これに対し、別の記者が「(大会関係者)数万人の行動を監視するのは物理的に可能か」と追及する場面もあった。
国民の暮らしと五輪、両立できる?
最初質問は、「国民の命と暮らしを守ることと五輪・パラリンピックの開催の両立は本当に可能なのか」というもの。菅首相は「東京五輪の開催について心配の声が国民のみなさんから上がっていることについては承知している」と述べたうえで、まずは現在の感染拡大防止に注力する姿勢を示した。 また、ファイザーから東京大会に出場する全選手に対してワクチンの無償供与がなされることを説明。各国の選手や大会関係者と一般国民が接触することのないよう工夫すると言い、「こうした対策を徹底することで、国民の命や健康を守り、安全安心な大会を実現する。このことは可能と考えており、しっかり準備していきたい」と述べた。
数万人の監視は可能?
何人かの記者が質問した後、司会役から指名された海外メディアの記者が「アスリート以外にも数万人の外国人関係者が来日する予定。彼らの一部はさまざまなホテルで滞在し一般人と接触する。海外報道陣は色んな取材をするつもり。政府がいくら厳しいルールを考えても非現実的なら意味がない」としたうえで、数万人規模の行動を監視することが可能なのかを問うた。 菅首相は、各国の選手はファイザーが提供するワクチンを接種してから来日すると指摘。来日する選手・大会関係者は、一般国民と接触しないと再度述べ、「こうした対策を行うことによって(海外)選手と日本人の命・健康は守ることができると思っている」と語った。「それ以外の方はさまざまな制約がある。水際(対策)を含めてあるので、そこは安全対策を徹底していきたい」とも言及した。
出場選手らにメッセージを
会見では、大会に出場する選手らを取材したという記者が「コロナで社会が大変な時に五輪を目指すことに対して社会から風当たりを感じて苦しんでいるように思う。総理から、現状こうした状況に置かれているアスリートに対して掛ける言葉、メッセージがあれば」とコメントを求めるシーンも。 これに対し菅首相は「東京大会に向けてテストイベントも数多く行っている。大会本番を想定して感染対策を徹底している。安全安心な大会にするので、是非懸命に取り組んでいただきたい」などと応えた。