原発「最大9基の稼働進める」岸田首相会見7月14日(全文1)
実質賃金をプラスに転じさせる考えか
司会:それでは、これから皆さまよりご質問をいただきます。指名を受けられました方はお近くのスタンドマイクにお進みいただきまして社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問ご質問をお願いいたします。まず幹事社からご質問をいただきます。それでは東京新聞、生島さん。 東京新聞・中日新聞:幹事社の東京新聞・中日新聞の生島です。よろしくお願いいたします。物価高についてお伺いします。総理はこれまで、欧米に比べて物価上昇は抑えているということをおっしゃっていますけれども、日本では名目賃金の伸びも小さくて、実質賃金で見れば必ずしも欧米と大きな差があるわけではありません。物価高は長期化するという見方もありますけれども、鍵を握る実質賃金については、いつまでにどのような方策を講じることによって、プラスに向けて反転させていくというふうにお考えでしょうか。 また政府は、物価高に関しては財政出動によって対応されているわけですけれども、これもまた、事態が長期化すれば財政への負担というものは非常に大きくなると思います。経済あっての財政というお考えを総理は示していらっしゃいますけれども、財源には限りがある。その中で足元の物価高対応と、先の参院選などでも訴えられた防衛費の増額をはじめとする歳出増につながる政策、この優先順位をどのように付けていくお考えでしょうか。よろしくお願いします。 岸田:まず最初に、賃金についてご質問いただきました。わが国経済はバブル崩壊以降、長期にわたりデフレといわれる状況が続き、名目賃金等も低迷をしてきました。そして10年前からアベノミクスといわれる、金融、財政、成長政策のポリシーミックスを講じてきました。
賃上げと経済成長をセットで
そしてその結果として日本経済、デフレではないという状況に至り、そして少なくともGDPは押し上げられ、そして雇用等も改善した。こうしたところでありますが、こうしたこの成果を、いかに賃金、あるいは人への分配につなげていくか、これが重要であり、それが持続可能な経済につながるという観点から、成長も分配もということを申し上げてきました。 そして賃金ということについては、昨年来、賃上げ税制であったり公的価格の引き上げであったり、公共調達や補助金において賃上げに積極的な企業を優遇するとか、あるいは価格転嫁など、さまざまな呼び水となる政策を用意することによって、今年の春闘、民間における動きにおいても、先ほど少し申し上げましたが、この20年間で2番目に高い賃上げの数字を示すことができた。こうしたことであります。 問題はこれをいかに持続させるかということでありますので、今後、最低賃金についても全国1000円以上とする取り組み等を進めるなど新たな政策もしっかり用意しなければなりませんし、そして何よりも賃上げの原資となる成長の果実、これが中小企業も含めてしっかりと確保されなければいけない。そこで成長、従来の成長、もちろん大きな意味があったと思いますが、この成長についても、今まで課題とされてきた気候変動ですとかデジタル、この分野を成長のエンジンにするために官民の投資を集めることが重要だということを申し上げてきました。このように、こうした賃上げと、そして経済の成長、これ、セットでこの経済政策を進めることが持続的な賃上げにつながっていく、こういったことを考えています。従来の経済の議論ですと、成長が先か分配が先かという議論でしたが、成長も分配もと言っているのはそういった趣旨であります。