草彅 剛「自分のことを役者とは思っていない。歌も踊りも色々やりたい」
── それでも、お芝居の仕事は次から次へと決まっていきます。その中で何か思いというのはありますか? 草彅 お芝居のお仕事、多いですね(笑)。去年も、舞台、映画、ドラマと、お芝居する場所的には網羅しているし、いろいろな方から「この役どうですか?」というお話をいただけるので。 その中で演じていて思うのは、脚本の先生方が書かれた言葉ってすごく素敵だなということで。自分にはないような言葉遣いもそうだし、先日終了した『ブギウギ』で演じた羽鳥善一さんのセリフも、ホントに素敵だなと思うんです。 演じることで僕自身も役から清らかな心をいただいているし、そういった意味で、演じるというのは、役によって何か特別なものになっていくという感覚はあります。
寡黙で優しかった健さんのことを毎日考えながら撮影していた
── 今回の映画では、格之進と娘のお絹(清原果耶さん)との深い絆も物語の重要な要素になっています。娘を思う親の心情というのはどうやって作ったのですか? 草彅 そこらへんは積み重ねかな。お父さんの気持ちというのは想像でしかないぶん、なかなか難しいので。でもね、『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004)をはじめ、僕は娘や息子を持つ役もけっこうやってるんです。 過去の作品で娘と接したり、息子を思うシーンを重ねる中で、「守ってあげたい」とか「愛しいな」と思う気持ちが蓄積されてきた結果、今回も清原さんを自分の娘として愛することができた。だから僕は格之進になれたんだと思います。 あとは、うちで飼ってる愛犬の愛おしさを日々感じているのも大きいかな。実際、クルミちゃんとレオンくんの世話を毎日していると、ふとした時に「可愛いなぁ」とか「やっぱり僕がいないと生きていけないんだな」と思う。 そういう、か弱いものを守りたいという本能的な思いからも格之進の心情を拾っているから、クルミとレオンにも感謝しないといけない(笑)。そんなふうに、日常の中からも役のヒントを得ています。