大ヒット商品も誕生 元 コーチ のリード・クラッコフ氏は老舗ジュエリーブランドをどう改革したのか
記事のポイント 高級ジュエリーブランド、ジョン・ハーディのクリエイティブチェアマンに就任したリード・クラッコフ氏はブランドの新たな方向性を打ち出し、ジュエリー業界に革新をもたらしている。 伝統的なバリ島のルーツを尊重しつつも、カジュアルでセクシーなスタイルにシフトし、新コレクションがベストセラーになっている。 マーケティング手法として、AR投稿やインフルエンサー活用でブランド認知度を高め、次のステップとしてホームアクセサリーの展開を計画中。 リード・クラッコフ氏がジョン・ハーディ(John Hardy)のクリエイティブチェアマンに就任してから、2年が経った。そして同氏は、その類まれな才能がいまなお健在であることを証明している。 クラッコフ氏は、かつてコーチ(Coach)とティファニー・アンド・コー(Tiffany & Co.)で、カテゴリーミックスの枠を大きく広げ、その堅苦しさをやわらげることで、両ブランドに変革をもたらした。そしていま、同氏は創業50年を迎えるファインジュエリーブランド、ジョン・ハーディに新たな命を吹き込もうとしている(同ブランドの株式の過半数は2014年からLキャタルトン[L Catterton]が所有)。クラッコフ氏による初のコレクションのうち、5つはすでにジョン・ハーディの歴史のなかで最大級のベストセラーになっており、新旧問わずファンの心をわしづかみにしている。また、同氏がジョン・ハーディのマーケティングおよびリテールプレゼンスにもたらした、ディスラプティブといってもいい華麗さも、新たな可能性のドアを開きつつある。「カジュアル」「セクシー」「クール」「コンフィデント(自信に満ちた)」──これらの言葉でクラッコフ氏はジョン・ハーディが進む新たな方向を表現している。 「我々が目指しているのは、大手のブランドや、従来のラグジュアリーブランドが辿る道をなぞることではない。そんなことをしても高くつくだけであり、ハードルが上がるだけだからだ」と、クラッコフ氏は米グロッシーに述べている。「ほかのジュエリーブランドはフォーマルさや慎ましさ、ステータスを重視しているが、我々のアプローチはもっとゆったりしている」。