「高校地学」がヤバい…「内容は面白い」のに「異常な履修率」に陥っている理由
高校地学は不要なのか?
それでは、地学は高校理科のなかでも魅力のない、不要な科目なのでしょうか。けっして、そのようなことはありません。 日本列島はどのように形成されたのか、地震はなぜ起きるのか、不思議な地形が生まれるしくみとは。異常気象はどうして起きるのか、気候変動が進んでいるという証拠は。恐竜はいつどうして絶滅したのか、宇宙はどのような構造になっているのか…… むしろ、年齢を重ねるほど、その知識が実体験や人生経験によって輝きを増し、味わい深くエンジョイできるようになる、いわば「真の教養」といえるのが高校地学なのです。 ここまで読んで、「地学って面白そうだな。でも、今さら高校の勉強ってのもなあ……」と思っているあなたにピッタリなのが、『みんなの高校地学 おもしろくて役に立つ、地球と宇宙の全常識』(鎌田浩毅/蜷川雅晴・著)です。 本書は、高校地学のエッセンスを新書1冊分に凝縮し、「地球や宇宙に興味が持って、いつかきちんとその内容を学びたいな」と思っているすべての人に、必要な基礎知識をわかりやすく伝えてくれる、まさに「みんなの教科書」なのです。 冒頭部分から引用します。 「地を学ぶ」と書くように、地学はわれわれ人類が生きている基盤を知るための学問です。具体的には、硬い岩盤のある地球(「固体地球」)、水や空気が流れている海洋と大気(「流体地球」)がどうしてできたのかを学びます。さらに、固体地球や流体地球を取り囲む太陽系の成り立ちを考え、その先は銀河系、宇宙へと広がっていきます。 トピックも非常に多様で、気象、地震や火山の災害、鉱産資源、エネルギー資源など、身近な題材に事欠きません。そして学問の分野としては、地質学、鉱物学、地球物理学、地球化学、古生物学、自然地理学、気象学、海洋学、天文学、宇宙論などを含んでいます。 その結果、地学は人間を取り巻く自然界のすべてを扱う極めて幅の広い学問となりました。われわれの生活基盤のメカニズムにも関連するものですから、老若男女を問わず、必ず興味を持ってもらえる内容になっていると思います。 (『みんなの高校地学』p. 3) 「人間を取り巻く自然界」に関する疑問に、最先端の研究から答えを見出す「地学」。そんな学問が、面白くないわけありません。 新たな年の幕開け、地球全体で織りなされる壮大な知の扉を開けてみてはいかがでしょうか。4月からレギュラー復活が決まって、全国の地学ファンが歓喜している「あの番組」の予習にもなりますよ!(F. Y. )
ブルーバックス編集部(科学シリーズ)