「『スラムダンク』なら神宗一郎」――エンゼルス大谷翔平、「謙虚過ぎる」25歳
僕は「サンプル」なんです
来シーズンからのルール改定もそうだが、大谷の成功を受け、メジャーで二刀流に本腰を入れるケースが増えてきた。同じエンゼルスでは、ジャレド・ウォルシュが一塁手兼投手に挑戦し、レッズではマイケル・ローレンゼンが外野手兼リリーフ投手として活躍している。 「僕は、良くも悪くも二刀流の『サンプル』なんです。僕が成功することによって多様性が生まれたり、次に二刀流をやりたいと思った人がスムーズに入れる道がつくれたりすると思っています。逆にここで僕がつまずいてしまうと、その道が少し狭くなってしまうのかな、っていうこともありますね」 先駆者ゆえの責任が、自分にはある。 「外野手兼クローザーという可能性の話をしましたが、自分じゃなくてもそういう選手がいてもいいかなとも思っています。そういう選手を使いたいっていう監督がいれば、そういうふうな選手が生まれる可能性もありますからね。本当にそこに型はないと思ってます。いろんなやり方があるでしょう」
「スラムダンク」なら神宗一郎
トレーニングや移動の合間の息抜きの一つが読書だという大谷。多読というよりは、気に入った本を何度も読むスタイルだ。 「通しで繰り返し読むこともあれば、大事だと思ったところを改めて読むこともあります。稲盛和夫さんの『生き方』とか、日本ハムのルーキー時代の研修で栗山監督から渡された渋沢栄一さんの『論語と算盤』とか。電子書籍では読まないです。活字が頭に入ってこないので」 堅い本だけでなく、漫画もよく読む。「推し」はバスケットボール漫画の『スラムダンク』だ。 「何十回と読みました。新装版も買ってあります。好きなキャラクターは仙道彰。僕とは全然違うタイプなところがいいんです。すごく好きですね」 仙道は、身長190cmという恵まれた体躯と類いまれなバスケセンスでチームを牽引する天才肌のキャラクターだ。普通に考えると、逆に大谷と近いタイプではないだろうか。 「そんなことはないです。全く違う。そういう意味だと、神宗一郎じゃないですかね。練習の鬼の。すごく共感します」 特徴も才能もない凡庸な選手と思われていた神は、膨大な反復練習を重ね、ロングシュートで頭角を現す。全国大会常連校のスタメンを勝ちとり、「努力の天才」として描かれている。 「反復練習は本当に大事。練習って面白いんですよ。練習を通じて自分の長所や能力を『発見』することもそう。そういう『気づき』を得る瞬間があるのが練習の面白さ、醍醐味ですね」