「『スラムダンク』なら神宗一郎」――エンゼルス大谷翔平、「謙虚過ぎる」25歳
二刀流をやれるとは思ってなかった
大谷は2013年の高卒1年目シーズンから、そうした周囲の雑音を吹き飛ばす活躍を見せる。2年目には、日本史上初の10勝・10本塁打を記録。3年目には投手として躍進し、最多勝・最高勝率・最優秀防御率の投手3冠に輝いた。4年目の2016年は、二刀流としてさらなる進化を見せ、10勝・100安打・20本塁打を達成する。 「僕自身、二刀流をやれるとは思ってなかったです。自分のスキルを伸ばしたい、現役中に1個でもやれることを増やしたいと思ってプレーしてきて、その延長線上にあったのが二刀流という結果かなと。その意味で、投手と野手の二つやる、っていうのは本当に願ってもないチャンスだったかな、とは思います」
2018年シーズンからはメジャーに移籍。ロサンゼルス・エンゼルスで二刀流の快進撃は続き、この年のア・リーグ新人王を獲得した。ここでシーズンオフに右肘手術を断行。翌シーズンは二刀流を封印し、肘への負荷の少ない打者に専念。チームのプレーオフ進出の可能性が消えたシーズン終盤には、さらに左膝の手術に踏み切った。右肘のリハビリが完了する来季以降を見据え、より万全な状態で野球に向かうための決断だ。 「膝の状態はもうかなり100に近い。肘も順調にリハビリが進んでいます」
ブルペンでの投球も再開し、二刀流「復活」に向けた準備は着々と進んでいるようだ。 「来シーズンは、メジャーリーグで二刀流選手のベンチ枠もできるので、チームに多少アドバンテージが生まれるでしょうし、野球全体の幅が広がるんじゃないかなと思っています。僕は今、DH(指名打者)と先発投手っていう枠でやっていますけど、例えば外野手でプレーしながら最後にクローザーとして出ていくとか、いろんな組み合わせ、多様性が出てくるでしょうね」
実際、大谷には日本ハム時代のように外野手でのチャレンジの可能性も取りざたされてきた。来シーズンからは、最優秀監督賞を3回受賞し、策士としても知られるジョー・マドンがエンゼルスの監督に就任する。 「マドン監督は、既成概念に縛られない生き様も魅力の監督なので、どう起用されるかわかりませんが(笑)、『行け』と言われた時に外野でもしっかり、他の選手以上のプレーができる準備はしておきたいですね。メジャーリーグで外野を守ったら、どういう景色が見えるのかな、という楽しみもあります」