早くも「VIVANT」超え…「アンチヒーロー」衝撃の設定と伏線、考察合戦も
俳優の長谷川博己が主演を務めるTBS系日曜劇場「アンチヒーロー」(日曜午後9時)が早くも「VIVANT」超えしたと話題になっている。14日放送の初回の平均世帯視聴率は11.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と奇しくも昨年7月期の「VIVANT」の初回と同じだったが、続く21日の第2話は12.8%を記録し「VIVANT」第2話の11.9%を上回ったからだ。(※以下、ネタばれを含みます) 【写真】「寝起き」でこのビジュアル!? “イケおじ”すぎる長谷川博己47歳
スポーツ紙デスクがこう話す。 「プロデューサーは『半沢直樹』『義母と娘のブルース』『ドラゴン桜2』『VIVANT』で知られるTBSドラマ制作部の飯田和孝氏で、『VIVANT』で脚本を担当した山本奈奈、李正美、宮本勇人の3氏も再結集しています。『アンチヒーロー』は4年前に企画書が出されて1回ボツになったため、主人公を女性に変更するプランもあったようですが、当初から主役を想定していた長谷川博己に再度、オファーを出して念願の制作が決定しました」 第1話冒頭で長谷川演じる弁護士の明墨正樹が拘置所で殺人事件の被疑者である緋山(岩田剛典)に語りかける長回しのシーンがあったが、顔の影を強く見せて故意に重く暗くする撮影手法は「VIVANT」の数々の名シーンを踏襲しているようで大きな見せ場となった。このシーンで強調された映像の「明暗」は「明墨」という名前のストレートな表現であることは言うまでもない。 「アンチヒーロー」は「“アンチ”な弁護士は正義か悪か―!?新たなヒーローがあなたの常識を覆す 逆転パラドックスエンターテインメント」と銘打ったオリジナル法廷劇。日本の刑事裁判での有罪率は99.9%と言われるなか、明墨は残り0.1%に隠された無罪の証拠を探して依頼人を救うのではなく、犯罪者である証拠が100%そろっていても無罪を勝ち取る“アンチ”な弁護士という設定だ。
冤罪事件への憤り
海外ドラマに詳しい放送ライターがこう指摘する。 「アンチな弁護士を描いているという点では、依頼人が実際に罪を犯していることを知りながらも、法的なテクニックや弁護戦略を駆使して無罪にしようとする弁護士を描いた映画『The Devil's Advocate』(1997年)が知られていますが、内容的に近いのはNetflixで現在視聴可能な『How to Get Away with Murder(邦題:『殺人を無罪にする方法』)でしょう。2014年から2020年までアメリカのABCチャンネルで放送され、主演のヴィオラ・デイヴィスは同作でプライムタイム・エミー賞の主演女優賞を受賞するなど幅広い人気を得ました」 主人公のアナリーズ・キーティング(ヴィオラ)は大学教授で刑事裁判専門の現役敏腕弁護士。彼女はあらゆる策略を駆使して被告の無罪を勝ち取る授業「殺人を無罪にする方法」を開講している。同作シーズン1の第1話を見ると、その手順として(1)証人の信用を落とす、(2)新たな容疑者を提示する、(3)証拠を埋没させる、を教え「陪審員に膨大な情報を与えて疑念を植え付ける。これが勝つ方法」と学生たちに言い放つのだった。 「『アンチヒーロー』の第2話では証人として法廷に呼ばれた都立医科大学の中島教授(谷田歩)のウソを証明して信用を落としましたし、証拠として提出された凶器のハンマーについても中島教授と姫野検事(馬場徹)の癒着を暴いてケムに巻いてしまいました。こういうところは確かに似ていますが、『アンチヒーロー』は検察や警察による冤罪事件への憤りをストレートに描くことで、巨大権力機関に人生を奪われた弱い個人の姿をクローズアップしていくようですね」(前出の放送ライター) ただ、さすがに殺人犯を無罪にしてしまう第2話の展開には「ほんとはやっちまってたけどそれは誰かのために仕方なくやったこと…? だとしてもだめだよ」「でっち上げも困るが隠滅もだめだろう」「なんで(新人弁護士の)赤峰くんがあのゴミ処理場に行ったのか、私の頭じゃわからない」「血のついた服をなぜとって来ないわけ? 犯罪者を野放しにするような弁護士を許してはだめだろ」など厳しい意見がネットに上がっている。 とはいえ、こうしたストーリーは先に挙げた「The Devil's Advocate」や「殺人を無罪にする方法」などですでに確立されているジャンルだ。飯田プロデューサーは公式サイトで「所詮人間が作り上げた『法律』というルールを、彼(明墨)がどう使い、どう利用していくのか。見てくださる方が、少しでも自分にとって大切な何かを思うきっかけになってくれたらと願っています」とアピールしている。