進化を続ける「UNIQLO(ユニクロ)」の機能性インナー なぜ、エアリズムはこれほど快適なのか?
衣服内環境の乱れによって発生する「不快」に注目
ーエアリズムにはどんな機能がありますか? 人が服を着ると、肌と服の間に温度、湿度、空気の流れという3つの要素から成り立つ「衣服内環境」が生まれます。この衣服内環境の乱れによって発生するムレや暑さを解消するのがエアリズムの機能です。 ・汗をすばやく吸い上げて乾燥させる「吸汗速乾性」 ・特殊な糸が汗などのにおいの元を吸着・中和する「消臭」 ・雑菌の繁殖を抑制する「抗菌防臭」 ・衣服と肌の間の水蒸気を衣服外へ逃がし、ムレを軽減させる「吸湿・放湿」 ・なめらかな着心地を生む「肌面平滑性」 ・肌に触れた際にひんやり感を生む「接触冷感」 ・驚異的な伸縮性を実現した「ストレッチ性」 以上の7つが現在のエアリズムのおもな機能です。[2]
ーエアリズムにはどんな素材が使われてますか? 男性用と女性用で使われている素材が異なり、男性用のインナーには、おもに特別なポリエステル素材が使われています。 かつて男性用インナーの素材といえば、綿100%や綿とポリエステルをミックスした合繊素材が一般的でした。ですが、綿100%は吸水性には優れるものの、乾きにくいという欠点があり、一方の合繊素材は、速乾性はあるものの、肌触りに難点があったんです。 そこでUNIQLOは、東レと共同でポリエステル素材を開発しました。注目していただきたいのは、人の髪のわずか12分の1ほどという繊維の細さ。この極細の繊維が今までにないほど軽くなめらかな着心地を生み出し、同時に汗をかいてもすぐに乾く吸汗速乾性も実現しました。
ーただ、ポリエステルのような化繊は、本来吸水性は高くないはずです。なぜ、大量の汗を吸収できるのですか? それは、液体が重力とは関係なく、細い管の中やすき間を上昇していくという毛細管現象を利用しているからです。 このポリエステル素材は100本近いポリエステル原糸を1本に束ねた糸で編まれていて、それぞれの糸の間には微細なすき間があります。汗は毛細管現象によってこのすき間を通って、生地の肌面から表側へと移動しながら拡散して蒸発します。そのため、化繊にもかかわらず、大量の汗を吸収することができるんです。 ー女性用のインナーにはどんな素材がありますか? 代表的な素材は「キュプラ」です。インナーを重ねて着ることが多い女性は、男性よりも衣類内温度がやや高くなることで、ムレや汗冷えを起こしやすい傾向にあります。そこでたどり着いたのが、優れた吸水性と拡散性(放水性)によって、ムレや汗冷えを起こしにくくするキュプラでした。 また、コットンリンターを原料とする再生繊維であるこの素材は、シルクに匹敵する高い水分率を保つ特性を持ち、肌触りにも独特のしっとりとしたしなやかさがあります。 女性用のエアリズムに使われているのは、この素材の持ち味を生かしながら、インナーに求められる強度や機能を補うため、ナイロンをミックスした独自のキュプラです。