高校生のデート、キス、性交が18年間減少 行動調査「面倒と思う子も」武蔵大・林教授
2023年の「青少年の性行動全国調査」(主催・日本性教育協会)で、高校生の「デート」「キス」「性交」の経験率が05年以降、計4回の調査で減少傾向にあることが分かった。特に中学生、高校生のデート経験率、高校生のキス経験率は17年実施の前回調査から減少幅が大きい。調査に関わった武蔵大社会学部の林雄亮教授(計量社会学)は、新型コロナウイルス禍で交流機会が制限されたことに加え「恋愛や性行動について面倒だと思ってしまう子供が増えているのではないか」と指摘する。林氏に背景などを聞いた。 【グラフ】性交経験率の推移(青少年の性行動全国調査から) ≪性教育協会は1974年に総理府(当時)に委託され、初回調査を実施。その後は民間の事業として、ほぼ6年ごとに中学生、高校生、大学生らのデートやキス、性交の経験率を調査する。今回は計1万2562人の中高大生に尋ね、今月3日に結果を公表した≫ ──高校生のデートやキスの経験率は05年、11年、17年の調査に比べ、23年調査で減少幅が大きかった。例えば、高校生女子のキス経験率は05年(52・2%)、11年(45・6%)、17年(41・1%)、23年(27・5%)だ 「中学生、大学生のデート、キスの経験率の減少幅は、高校生ほどガクンと下がっていない。異なる学校段階の子供たちに異なる変化が起きている。一つは新型コロナの影響ではないか。一般に性について関心を持ち始める中学生の時期が20~22年に当たり、新型コロナのため人と接触する機会が単純に失われていたと考えられる」 ──1999年、2005年の調査に、中高大生のキス、性交の経験率のピークが集中している 「00年代半ばまで、セクシュアルな情報への規制が緩かったなど、青少年の性的行動に歯止めとなる社会的なハードルが低かったといえる。景気の動向や大学進学率の上昇などいろいろなマクロの要因がある。その後、景気も悪くなり、セクハラは許されないといった考えが社会に浸透するなど倫理的に抑制されたのが大きな流れだろう」 「恋愛や性行動を面倒くさいという発想も子供の間に強まっているのではないか。ほかに興味を抱くと同時に、傷つきたくないとの考えもあるだろう。これまで通り交際相手を求め、性的な関係を持とうとする子供たちと分極化が起きているという見方もできる」