最新! サプリメントの注目キーワード18【前編】
⑦ 自然な抗うつ剤の役割を果たす必須アミノ酸「トリプトファン」
メラトニンは日本ではサプリメントとして販売されていないが、その原材料となるトリプトファンは食品として認められていてサプリが入手できる。これが実はとてもラッキーなこと、と平井さんは言う。 「コロナ禍のとき倦怠感や記憶力低下、ブレインフォグなどといった後遺症が問題になりましたが、よく調べてみたらセロトニンレベルが低くなっていたという話があります。コロナウイルスがセロトニンの量を低下させるという研究報告があるんです。今またもしコロナに罹ったらセロトニンの材料となるトリプトファンを摂ることは有効なのではと思っています」 今は落ち着いているが、コロナウイルス自体は駆逐されたわけではない。将来再び猛威を振るう可能性はゼロではない。だからこその、アフターコロナトリプトファン。 「トリプトファンは自然な抗うつ剤といわれるほどアメリカでは浸透しています。安全で簡単にそれが摂れるメリットは大きいと思います」
⑧ 脂肪燃焼効率を上げる「ケトン体」サプリが人気
糖質制限食をある程度続けていくと脂肪からケトン体という物質が肝臓で作られ、ブドウ糖の代わりにエネルギーとして消費される。その結果、脂肪燃焼がより促される回路が活性化する。これがケトジェニックダイエットと呼ばれるもの。 「アメリカにはケトン体のカプセルをプロテインに混ぜて飲むということも結構普通に行われています。筋トレのサプリショップには一番目につくところにケトン体サプリが置かれていて、ここ最近のトレンドになっているようです」(中村さん) 糖質制限食以外に、ある程度運動で追い込んだときにもケトン体が作られる。サプリであらかじめケトン体を補給し、脂肪燃焼効率を上げて運動することでカラダを絞る人も少なくないという。 糖質をとことん制限したり運動で追い込んだりする手間を省き、効率的にカラダづくりをするためのツールとしてケトン体サプリが利用されている様子。この流れ、日本にもやってくるか?
⑨ 滋養強壮以外にも多くの機能を秘めたアミノ酸「タウリン」
圓尾さんが今、個人的に注目している栄養素がタウリン。 「一般的には栄養ドリンクに入っている疲労回復成分というイメージが強いと思うんですけど、実はいろいろな面白い性質があるんです」 タウリンはアミノ酸の一種で、とくに貝類やイカやタコといった魚介類に豊富に含まれている。よく知られている機能は胆汁の生成や神経系の情報伝達のサポート、解毒作用などなどだ。 「その他、糖尿病など生活習慣病の予防や抗肥満作用などがあることも分かっています。世界のさまざまな地域で行われた疫学調査では食事からタウリンを多く摂っている地域ほど、循環器疾患による死亡率が少ないという報告もされています。もしかしたら日本人の長寿の要因のひとつにタウリンがあるかもしれない、と言っている研究者もいるんです」 魚食の量が右肩下がりに減っているニッポン人だからこそ、もう一度タウリンに注目してみる価値はあるかもしれない。
取材・文/石飛カノ(初出『Tarzan』No.877・2024年4月7日発売)