幼児教育における成功の秘訣は「語彙力」。5歳までにお金をかけずに家庭でできる3つのこと
レッスン2:読み聞かせた後は、子どもを「話し手」にする
【和田さん】:本を読み聞かせたり、自分で読ませたりした後に、そこにどんなことが書いてあったのか、誰が出てきて何をしたのかを子どもに聞いてみます。 そうやって子どもが要約した内容が、物語の本質やストーリーをきちんとつかんでいるかを確認し、子どもがよくわかっていない部分があったら、親子でもう一度ページをたぐりながら物語を追ってみます。そんなふうに親がサポートして、文章理解のきっかけをつくってあげることが子どもの読解力を伸ばす第一歩になるのです。 「あおむしが月曜日に食べたものは何だっけ?」(絵本『はらぺこあおむし』)、「さるは誰にやっつけられたの?」(絵本『さるかに』)といったように、子どもが慣れないうちは、クイズのように出題してみるのもいいと思います。 また話の本筋を追うだけでなく、文章には表現されていない主人公の気持ちを表現させてみたり、主人公以外の登場人物の気持ちを想像させてみたりなど、一つの物語をさまざまな角度から自由に読み解くことができるのも本の魅力。子どもの想像力や表現力を養うこともできます。 読み聞かせを通して、子どもを聞き手にするのではなく、話し手にしてあげることが大事です。
レッスン3:読み聞かせながら、子どもに字を読ませる練習をする
【和田さん】:まずは絵本の平仮名で書かれた文字を見せながら、ゆっくり読んであげてください。子どもが興味を持って「これはなんていう字?」と聞いてきたら、「これは『あ』だよ」と丁寧に教えてあげると良いでしょう。 字という概念を持っていない幼児にとっては字を覚えていくのは根気が必要な作業です。しかし字が読めるようになるということは子どもにとって最初の学びの大きなステップであり、「自分で字が読めるようになった」ということは、子どもの自信形成に非常に重要な意味を持っていると考えられます。 子どもが文字に興味を持つようになったら自分の名前を教えてあげましょう。たとえば「わだひでき」と声を出しながら何度も字を見せているうちに、子どももこれが「わ」で、これが「だ」だということが少しずつわかってくるようになります。 そのように少しずつ字を覚えさせたら、今度は子どもに絵本を読んでもらいます。 最初は親が一定の長さの文章を何回か読み聞かせたら、「じゃあ次は、○○ちゃん読んでみようか」と言って、読ませてみます。そこで読めなかったら、また親が読んで聞かせます。その過程を踏みながら、子どもは頭の中で文字と音を一致させていきます。そうやって次第に子どもは字を覚えていくのです。 ■まずは「字」に興味を持つきっかけを 【和田さん】:しかし急がせてはいけません。大切なことは、たくさん読めることや完璧にできることではなく、文字の数は1つでも2つでもいいから「自分で字が読めるようになった」という感覚を持てることです。字に興味を持てれば、そのうち徐々に自分から読もうという意欲が出てきます。 また物語や小説が好きではない子どももいます。子どもの興味の持つ分野で、その子の能力を伸ばしてあげることが重要です。動物が好きだという子には動物図鑑、乗り物が好きな子には乗り物の本、恐竜が好きな子は恐竜の本を読ませればいい。マンガでも構いません。文字を読むトレーニングにもなりますし、物語の流れを読み取る力や語彙力もついてくると思います。 とにかく物語、図鑑、子ども向けの新聞、幼児向けの百科事典、辞書、マンガ、学習マンガ、歴史マンガなど、どんな本でもいいので、まずは文字に触れる機会を増やすことが大事です。 ※ここまでは『5歳の壁 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』(和田秀樹・著/小学館)の一部から引用・再構成しています。 ■『5歳の壁 語彙力で手に入れる、一生ものの思考力』 和田秀樹 小学館 1,760円(税込) 子どもの人生を左右する「壁」は5歳にあり。壁突破のキーワードは「語彙力」──受験学習法・幼児教育のプロである和田秀樹さんが、5歳までに語彙力を飛躍的に伸ばす具体的なおうちレッスンを紹介。家庭での幼児教育への向き合い方を伝えます。
構成/国松薫