日本郵便、配達業者から不当に違約金徴収か 公取委が指導
宅配便「ゆうパック」を巡る配達ミスやクレームを理由に、郵便局が十分な根拠を示すことなく不当に「違約金」を配達委託業者から徴収していたとして、公正取引委員会は日本郵便の下請け法違反(不当な経済上の利益の提供要請)を認定し、是正を求める指導をした。関係者への取材で判明した。 【グラフ】1981年は…これまでの郵便料金の変遷 日本郵便は、サービスの適切な提供や集配業務の品質向上などを目的に違約金制度を導入。誤配達は1件5000円、たばこ臭のクレームなら1件1万円といった目安を定めている。一方で実際の違約金は郵便局ごとに金額を決める運用になっており、関係者によると、一部の郵便局で誤配達は3万円、たばこ臭のクレームについては10万円の違約金を設定し、徴収している実態が確認された。 この制度自体は違法でないものの、郵便局側による違約金の算出根拠が曖昧で、被った不利益の範囲を超える金額を徴収していた可能性があることや、配達委託業者に十分な説明をせず一方的に金額を設定していたことから、公取委は今回、違法性が認められると判断した模様だ。下請け法は親事業者が自社の利益のため、下請け事業者に金銭や役務を提供させて利益を害する行為を「不当な経済上の利益の提供要請」として禁じている。 公取委は2023~24年に関東地方の郵便局について、配達委託契約の調査を実施。24年6月、日本郵便を指導した。ただし違反行為が一部の郵便局にとどまる点を考慮し、下請け法で最も重い勧告は見送った。 日本郵便の広報担当者は行政指導の有無を「答えられない」としたうえで、違約金制度について「協力会社への調査などから、違約金の対象事案や金額など郵便局ごとに運用の異なる点が認められたため、今年4月をめどに全国で統一する予定だ」とコメントした。 残業規制に伴い物流の人手不足が深刻化する「2024年問題」でドライバーらの待遇改善が求められる中、公取委は物流取引に対する監視を強化している。【渡辺暢】