92歳女性が「老人ホーム入居の夢」をあきらめた訳 老いの現実を知り、上手に付き合うためのコツ
■意識して人前に出て、億劫を振り払う では、億劫に立ち向かうために、どこで気合いを入れるかというと、私の場合は仕事です。 仕事の依頼があれば、資料を読み込んだり、文章を書いたりしなければなりませんから、横になっている体を無理にでも縦にして机に向かいます。 新聞や雑誌の取材があれば、あらかじめ与えられたテーマについて、考えをまとめて、記憶違いがないか調べたりします。たまに、テレビ出演なんてこともあり、そんなときは美容院に行って身なりを整えます。緊張もしますから背筋がシャンとします。
人と会ったり、人前に出るとなれば、おのずと気合いが入るものです。 億劫になるのは、たぶん、すぐにでもやらなければならない緊急性や切迫した事情がないからだと思います。 だとしたら、意識して人と会ったり、人前に出る機会を作ったりするのはどうでしょう。 そのためには、外に出かけていかなければなりません。趣味の習い事でもいいし、勉強会でもいいのです。月に1回や、週に1回の予定をカレンダーに書き込むだけでも、やる気が出てくるのではないでしょうか。
とはいえ、いつも、やる気満タンでいるわけにはいきません。そこは疲れない程度に調整しながらやっていくのがいいのです。 億劫を否定するのではなく、老いの自覚をもちつつ、ある程度は受け入れたほうが、自分の身を守ることができます。 ■負担になる家事は人に頼みましょう 負担になってきた家事などは、人に頼むというワザを使いましょう。私の場合は、週に2日、シルバー人材センター[注2]の人に来てもらい、食事作りと、掃除、洗濯をしてもらっています。
最初は代金が割安なのがいいと思いお願いしたのですが、スタッフは地域に住んでいる人たちなので、知っている先生がいた学校のことなど、共通の話題があるのです。親近感が湧いて、いまではとても心強く思っています。 それに、皆さん家事のベテランです。食事はおいしく、部屋はすっきり清潔にしてくれます。 億劫に立ち向かいながらも、苦しい部分は無理をせずに人にお願いしながら、上手に老いとつき合っていく。その億劫を自分だけ、家族だけで解決しようとしないこと。これは、人生100年時代を生き抜く知恵の1つです。