「平時の備え」を充実、新感染症対策の行動計画を閣議決定 政府、10年ぶりに抜本改定
具体的には、国や全国の自治体の関係機関が「平時から実効性のある訓練を実施し、不断に点検、改善する」とした。また、感染症が発生した場合に備えて自治体は関係機関と協定を結び、実際に発生した場合は速やかに医療、検査の体制を立ち上げることを求めた。そして、日頃から連携体制やネットワークをつくっていることの重要性を指摘している。
対応すべきテーマを「実施体制」「情報収集・分析」「情報提供・共有、リスクコミュニケーション」「水際対策」「まん延防止」「ワクチン」「医療」「治療薬・治療法」「検査」など13項目に分類して独立させ、それぞれ「準備期」「初動期」「対応期」の3フェーズに分けて計画を細分化した。感染の複数の波を想定して状況に応じて対策を切り替えるのが狙いだ。
さらに計画を実施していく上で必要な「横断的視点」として、「人材育成」「国と地方公共団体(自治体)との連携」「DXの推進」「研究開発への支援」「国際的な連携」の5つを挙げている。
国や都道府県の調整、指示を明確化
新型コロナは2020年1月に初めて国内感染が確認された。その後のコロナ禍を経て23年5月上旬に感染法上の5類に移行した。国内ではこれまで10回の感染拡大の波を経験している。感染法上の扱いが5類に移行するまでに国内で約3300万人が感染した。その後も増減を繰り返しつつ、現在も感染の波が下がりきらない状況が続いている。
5類移行までの3年超のコロナ禍について、新行動計画は「感染症危機が社会のあらゆる場面に影響し、国民の生命及び健康への大きな脅威であるだけでなく、経済や社会生活をはじめとする国民生活の安定にも大きな脅威になった」と振り返った。
コロナ禍では国内で7万人を大きく超える人が亡くなっている。この間、政府の緊急事態宣言など、さまざまな対応、対策を巡り混乱も見られた。流行の波が高い時には入院できる病院が見つからず、自宅や療養施設で亡くなるケースが頻発。行政の対応が遅れて保健所機能がパンクする事態もあった。