あなたが痩せない本当の理由「なぜ? 職場でも家でも毎日忙しく動き回ってるのに、一向に痩せないんですけど?」【40代・50代のダイエット悩みに管理栄養士・麻生れいみがズバリ解答! ⑨】
これが自律神経の正常な働き。体中を司っているので、当然、内臓の動きにも直結しています。 わかりやすいのが腸の活動。大腸の働きをよくするのは副交感神経で、リラックスモードの副交感神経が優位になると腸のぜん動運動が活発になります。ストレスがたまっていて交感神経が優位な時間が長かったりすると、腸がうまく動けずに便秘や下痢になっちゃうわけです。旅行に行くと便秘になってしまうとか、大事な用事のときに限って下痢をするとか、それはまさに交感神経が優位なまま、副交感神経が高まらないからよ。 腸と自律神経の関係だけ見てもそうなのだから、自律神経のバランスが乱れていたら、体中がちゃんと働いてくれない=痩せないことは想像がつくでしょう」
ぐっすり眠るだけで、痩せやすい体になれる!
「以前ダイエットのアドバイスをした女子で、いわゆる『何をやっても痩せない』タイプの人がいました。デザイン関係の人で、締め切り間際は昼夜問わず働いてるの。徹夜も日常茶飯事。家の仕事もきちんとしているから、寝る時間がなくなっちゃうわけです。 その人は、週末2日間ファスティング指導までしたけど、何回かやっても2日で500gも痩せなかった。効果が出る人は2kg痩せることもあるんですけどね。彼女はいつもテキパキ戦闘モードだから、交感神経がずっと優位。睡眠時間も短いけど、元気なんです。でも、それでは代謝が悪くなるのは当たり前で、痩せるはずもない。 副交感神経は夜眠っている間に働いて、体を修復して体調を整えてくれる役目。質のよい睡眠はダイエットに直結するのよ! 忙しい人は睡眠不足に加えて、職場環境や家庭環境、人間関係などがストレスになっていることも多く、余計に交感神経がいつも高まっている。副交感神経を高めるスイッチがないわけです。 痩せたいなら睡眠を軽視しないこと。質のよい睡眠をとるには、寝る前に副交感神経のスイッチが入るようにしましょう。日中に運動すれば、人はだいたい夜には副交感神経が優位になって自然に眠くなるものだけど、忙しい人は無理よね。 それなら、寝る数時間前からリラックスして過ごすのが一番。運動が大事だからと、寝る前に筋トレなんかしてはダメよ。気持ちよくリラックスできるストレッチなどがおすすめです。自律神経はただでさえ年齢とともに衰えていくといわれていて、だからなかなか寝つけない、熟睡できなくなるんです。 前述の彼女、この自律神経とダイエットの関係を理解してからは睡眠にこだわるようになり、睡眠時間を確保することに努めてくれました。それだけで数カ月後には『太りにくくなった~』と報告してくれたんです。 生活習慣を変えることは難しいものだけれど、それで自律神経が整い、きちんと眠れるようになれば痩せやすい体に変われる。それは今後の人生にとってもすごくラッキーなことだと思いませんか」
【教えてくれたのは】 麻生れいみさん 管理栄養士・料理研究家。東京医療保健大学大学院医療保健学研究科医療栄養学領域修了。慶應義塾大学SFC研究所 食・フードサイエンス&テクノロジー共同研究機構メンバー。著書は『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)、『20kgやせた! 糖質オフ入門 最新版』(宝島社)などすでに28冊に及ぶ。ベストセラーも多数。 取材・原文・画像作成/蓮見則子 イラスト/カケハタリョウ
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