男性はなぜ強がってしまうのか?小説家・白岩玄さんと考える、福田フクスケの「やわらかジェンダー塾」
フリーの編集者・ライターとしてジェンダーに関する記事や書籍に携わる福田フクスケさんが、毎回ゲストをお迎えしてジェンダーの問題についてトークしていく連載「やわらかジェンダー塾」。今回のトークテーマは「男性はなぜ強がってしまうのか」について。小説『たてがみを捨てたライオンたち』、『プリテンド・ファーザー』など、男らしさをめぐる問題をテーマにした作品を多数発表している小説家の白岩玄さんとともに、男性の「強がる」コミュニケーションについて深堀りしてみました。 福田フクスケのやわらかジェンダー塾(画像)
共通の課題や目的がないと、なかなか仲良くなれない大人男性たち
――今回は、福田さんから「男性は特に、大人になってから友達をつくるのが難しいのではないか?」ということについて白岩さんとお話ししてみたいとご提案いただきました。yoi読者の女性たちからも友達づくりについてのお悩みは多数寄せられますが、男性であるお二人が新しい友達を作りづらいと感じる理由とは? 福田さん:僕はあまり友達をつくるのが得意ではなくて……。仕事で出会った方と「今度プライベートでも飲みに行きましょう」と盛り上がっても、なぜか遠慮してしまうんですよね。もともと幹事やリーダーをするタイプでもないので、「誘われ待ち」をしているうちに、うやむやになって実現しないことが多い。 白岩さん:僕も友達作りはあまり得意ではないですね。別に仕事でもプライベートな話をしていいはずなのに、そのプライベートをどこから喋っていいかわからない。子どもがいれば子どもの話はしやすいですけど……そこからなかなか深まらない。 福田さん:自分に興味を持ってくれているのはあくまで仕事の役割があるからで、それを越えて出しゃばっていいのか?と考えてしまうせいかもしれません。 そのせいか、今の友達はそのような意識が芽生える前に出会った人……つまり地元や学生時代の頃からの関係ばかりです。 白岩さん:僕は地元から離れた場所に長く住んでいるので、昔からの友人はすっかり減ってしまいました。連絡を取り合うような人は、片手で数えられるくらいしか残っていない。あとはパパ友くらいかな。 福田さん:パパ友! 新しい友人関係ですよね。 白岩さん:数年前に『パパ友がいない』という連載をしたこともあったんですが、最近は少し状況が変わって何人かパパ友ができました。小学一年生の息子が『ポケモン』のアーケードゲームをやるんですけど、それについてきたパパ同士で仲良くなれたんですよ。ついこのあいだも、そこで親しくなったパパ友の一人がワンオペだったときに、お互いの子どもを連れて遊びに行きました。 でもこれは、自分と相手が同じ「パパ」だからこそできた関係ですね。僕個人で友達をつくれたかというと、難しかっただろうなと思います。 福田さん:「パパ」もそうですが、共通の目的や課題があると仲良くなりやすいですよね。僕は子どもがいないし、酒やスポーツもやらないのでなおさら新しいコミュニティには入りにくいのかなと感じています。本当は、目的や課題なんかなくても、お互いの話をして仲良くなれればいいんですけど。 でも、僕の事実婚の妻は、新しく仕事で知り合った人とも友達になって食事に行ったりしているんですよ。性格の差ももちろんあるのでしょうが、男女のコミュニケーションスタイルの差もあるのかな、なんて考えてしまいます。